2013-01-01から1年間の記事一覧

愛とは

「愛は惜しみなく与う」と云います。その“愛”をたった二人の友人にだけ与え、その後に自らの命を絶ったのが、村上春樹の『ノルウェイの森』の主人公の友人のキズキでした。親の、子に対する無償の愛。それはキズキのように消え去ることすら自分に許さないも…

そうありたい

「良い刀は鞘に入っているもの」なら、「頭が良い人は黙っている」のだろう。言葉を大切にしたい。

家族の第9巻

私は、他人の期待は裏切ってもかまわないと思っています。しかし、気持ちを裏切ってはいけません。「大事な人って誰ですか?」この漫画を読むと、自分が(生きているのではなく)生かされているのだという真実をあらためて思い知らされます。3月のライオン 9…

飲み込めない

咀嚼しようと試みながら果たせず、ずっと腑に落とすことができないでいる言葉があります。東京オリンピックの開催が決まる前、まだ誘致レースの真っ只中の頃。猪瀬直樹都知事の、大略「オリンピックで盛り上がることで、心のデフレを脱却する」という発言で…

『黒警』

もう何年も、警察小説の隆盛が謳われています。しかし、私は話題になっている作品を何冊か読んでいるだけで、その流れに乗れずにいます。かつて、テレビの刑事ドラマは、犯罪を題材にすることで世相や、その犯罪を犯さざるを得なかった者の悲しみを描き、視…

急がば回れ

この本の主張はシンプルです。「人を育てよう」「とりあえず目の前の利益を確保しなくては、次がない」という汲々とした世の中で、それを主張するのには勇気が要ります。“米百俵”も、そのとき持て囃されただけで終わりました。小泉純一郎が首相だった頃、戦…

別の現在の私

BOX

七月下旬に風邪をひき、お盆頃の復帰を目指すも叶わず、九月になって再始動。まる一か月、これほど長くジム通いを休んだのは初めてのこと。初日は、シャドーを中心に、分量も時間も従来の半分程度でへとへと。さらに、翌日には軽いものながら筋肉痛になり、…

演じる

自分らしさ、個性。甘美な響きです。その内懐に言い訳を抱いて。余人に替え難いユニークな人は希少だからこそユニークなのであって、誰もが“特別な人”なら存在価値はありません。唯一の例外は家族ですが、それも属性の問題であって、その人の個性は関係あり…

ふと立ち止まろう

価値観は時代と場所で千差万別、十人十色。それはわかっちゃいるけれど……。内田樹は、『疲れすぎて眠れぬ夜のために』で、私たちが当たり前だと思っている価値観が実は脆弱であること、それに自分を委ねることの愚を論じています。「それが常識」というのは…

般若心経

最も有名なお経のひとつ、般若心経。般若心経について書かれた本を読んだことがありますが、それももう何年も前のこと。それとは違うアプローチの本を読んでみたいと思い、玄侑宗久の『現代語訳般若心経』を手に取りました。『禅的生活』の続きという側面も…

現在の私

どうやら、読書の傾向が変わってきたようです。以前のように、特定の作家が気に入って作品を買い揃えることもなくなりました。それとともに、小説については、新しく出てきた作家の作品を手に取ることもなく、好きで読んでいる作家の新刊を買うだけというこ…

まだ……

NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』を観て、思いました。「まだ、喉もとを過ぎていないのだ」と。

『消滅のリスト』

世界が二つの陣営に分かれて睨み合った東西冷戦の後。ソ連が消え、唯一の超大国となったアメリカを中心に世界が回ると思いきや、そうは問屋が卸さず、新たに中国が台頭してきましたが、利害が錯綜して、かつてのような二極構造にはならず、その歪みは複雑に…

巨星堕つ

小さな命が生まれる一方で、老いた命が消えていきます。老いた命が消えていく一方で、小さな命が生まれます。そのダイナミズムの前に立ちすくみます。家族全員がお世話になっていた恩人と呼ぶべき人が亡くなりました。その縁がなかったら、私たち家族の姿は…

約束

願いは叶いました。さあ、いつでもどうぞ。

恥を晒す

「アラブの春」に始まった中東の混乱は収まる気配を見せず、混迷の度を深めています。そこで、最初の問い。アナタは“中東”とは何か、定義できるでしょうか。私は、本書『<中東>の考え方』を読むまで、そのようなことを考えたこともありませんでした。そし…

私的:船戸与一論 其の十

大略「高度工業化社会と植民地を併せ持つアメリカを舞台としてハードボイルドは成立する」と云う船戸与一の作品の読者には、そのアメリカの覇権主義は現実そのものです。船戸作品にはアメリカ以外の国を舞台にしたものも数多くありますが、上記のテーゼを踏…

同じだ

都合の悪いことからは目を逸らし、自分が信じたいことしか信じないのが日本人の特性と云われますが、どうやら、それは洋の東西を問わないようです。そして、為政者が美辞麗句を並べ、自分たちに都合の悪いことは隠そうとするところも。その権力の暴走を許す…

ジャーナリズム

アフガニスタン侵攻やイラク戦争に際してアメリカのマスコミが国家権力に迎合したことは周知のことです。しかし、アメリカの裏面史を描く本書において、真っ当な批判記事が数多く引用されています。それらは、ジャーナリストが自分たちで調査したものであり…

傍観者

「原爆投下が戦争の終結を早めた」という言説が神話に過ぎないことは、日本人なら百も承知です。と同時に、この本を読んだアメリカの人々が驚き、憤り、ここに書かれていることは物事の一面でしかないと考えるだろうとも想像できます。理解や解釈は、その人…

応援したい

子育ては、大袈裟でなく一大事業です。親という他人の世話がなくては、赤ちゃんは生きられません。そして、親は自分のための時間を失くします。次から次へと“やること”があって、自分のことは後回し。食事は立ったまま、場合によっては忘れてしまうこともあ…

残暑お見舞い

夜、室内の気温が三十度。それで「涼しい」と感じてしまう猛暑の夏。

洗練

ボクシングにおいて、どうして(相手に大きなダメージを与えるものではない)左ジャブが大切なのかを未経験者に理解してもらうのは困難です。久し振りに試合を観戦して、日本ランキングの上位に名を連ねる選手、そして、日本チャンピオンの動きを美しいと感…

戦う男の浪漫

通っているボクシングジムの選手の試合があり、久し振りに観戦しました。今日がデビュー戦という選手同士の組み合わせから、日本ランカーのセミファイナル、日本チャンピオンのメインイベントまで、全七試合。それぞれに技術の巧拙はあります。しかし、それ…

会議

ドラマ『七つの会議』では、物語の折々に会議の場面が挿入されます。上は親会社の社長をはじめとする重役が居並んだ“御前会議”から、下は屋上にパイプ椅子を並べた“俺たちだけの会議”まで。不良品の回収のための部署だけを残して、会社は解体されました。そ…

積む

職場で欠員ができ、新人が入社してきましたが、二週間で「辞めたい」と言ってきました。その理由として「自分は正午になると同時にピタッと昼休みに入り、五時半になったらパッと席を立って帰るのでなければ働けない」とのことでした。そして、「迷惑をかけ…

拙いながら

発した言葉は自分に返ってきます。特に批判の言葉は。最も安全な策は“黙っていること”です。しかし、それは卑怯な振る舞いでしょう。古今東西、沈黙によって何かを成し遂げた人がいたでしょうか。自問自答を繰り返しながら、駄文を連ねていこうと思います。…

「他人を変えることはできないが、自分が変わることで世界が変わる」と云いますが、果たして本当でしょうか。「変えられない」という認識は、まず「現実を受け入れること」から始まります。それに対して自分が如何に向き合うかという問いを自らに発すること…

何度でも

ささやかな額ながら、夏のボーナスが出ました。そこで、微々たる金額ですが、いつものように「日本ユニセフ」と「あしなが東日本大地震・津波遺児募金」に寄付をしました。忘れてないって言ったろ。

固ゆで卵

私は“怒り”を否定しません。しかし、その怒りを純化させることが大切です。それを怠っては、怒りは“憎しみ”に堕してしまいます。怒りの純度を高めることで、表層的な感情に左右されることなく、自らの“行動”のエネルギーに転化できると思うのです。