2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

共感

冲方丁の『マルドゥック・アノニマス』は、山田風太郎の忍法帖ものの系譜に連なる作品です。エンハンサーと呼ばれる、特殊な(異様な)能力を持つ者たちの戦いが描かれます。第一巻は、たくさんのキャラクターの紹介も含めて個別の対戦(対決ではありません…

人種差別について、「黒を悪いもの、ネガティブなものの象徴として扱っているかぎり差別はなくならない」(そうとう意訳しています)と聞いたことがあります。では、月村了衛の『黒涙』の“黒”は何を表現しているのでしょうか。警察組織は、人の集まりである…

訃報に接し

フィデル・カストロの訃報に接し、船戸与一の『国家と犯罪』を手に取りました。その(朗々と声に出して読みたくなる、詩のような)序文にて船戸が見つめている世界において、最後まで「カストロ」という個性を全うした姿に、アメリカに亡命したキューバ人た…

入門書

宇宙から地球を眺めると、山や川、海はありますが、国境線は見えないと言います。地表に立つと、その山の高さ、川や海の広さや深さを目の当たりにします。本書を読んで、地政学とは、この二つの視線の交錯を基とする学問だと理解しました。もちろん、地政学…

ジレンマ

人種や肌の色を理由にした差別は言語道断ですが、男と女は人類社会のすべてに存在するのであり、それを理由に差別することは同じレベルで許されません。アメリカ国民は、口が裂けても「ヒラリーが敗れたのは女だからだ」とは言えないでしょう。その可能性に…

祭りの後

国民の不満の受け皿になることと、その不満を解消することは違います。トランプ氏は、この溝を埋めることが出来ないでしょう。日本は、アメリカに先んじて民主党政権の体たらくという経験をしていますから、よくわかります。現状への不満を背景に、乱暴な言…

相似

本書でエマニュエル・トッドが語っている、彼の母国フランスの様子は、驚くほどに現在の日本の姿と重なります。トッドは、それを「深い夜の闇」と表現しています。問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (文春新書)作者: エマニュエル・トッド,堀…

世論とは

アメリカの大統領選挙がかつてない泥仕合の様相を呈しています。ネガティブキャンペーンも極まれり。互いに、順番にスキャンダルが表面化し、その都度世論調査が行われ、その災禍に見舞われた候補者の支持率が急降下し、対立候補がポイントを稼ぎます。この…