2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

物語の後の物語

良い短編を読んだあとの、静かな余韻。優れた物語は、その表現手段を選びません。いや、漫画だからこそ胸に迫るものがあるのかも。MASTERキートン Reマスター 豪華版 (ビッグ コミックス〔スペシャル])作者: 浦沢直樹,長崎尚志出版社/メーカー: 小学館発売日…

前進の第10巻

羽海野チカの『3月のライオン』の第10巻を読みました。第9巻までは少年の成長を描いていましたが、この巻から描かれ始めたのは、少年が男になるストーリーです。よく言った、桐山。3月のライオン (10) [BUMP OF CHICKEN]CD付特装版 (ジェッツコミックス)作者…

ガッツ石松

前の記事の続き。ガッツ石松がゲストとして来場していて、メインイベントの前にリング上で挨拶をしました。あの朴訥な語り口で、簡潔にして要を得た、ボクシング愛を感じさせる内容。感心しました。そして何より、その佇まいから、彼は紳士だと思いました。…

誇り

ひさしぶりに試合会場に足を運んでボクシングを観戦しました。リングに立つ二人。規定ラウンド後、彼らは勝者と敗者になります。必ず。どっちも頑張れ。どの試合を観ても、そう思わずにはいられませんでした。勝者を称える一方で、敗者を嗤う者は誰一人いま…

幻想が描く真実

わたしたちが確固として揺るぎないと思っている価値観。その共通認識がなくては、社会は成立しません。しかし、人ひとりが知っていることなど、この広い世界の中の小さな微々たるもの。その集合体の“常識”の正体など、推して知るべし。誰もが知っているよう…

パン

人はパンのみにて生きるにあらず。もっともです。しかし、それはパンを食べることができる人のセリフです。つまり、「人はパンのみにて生きるにあらず」という言葉は、人が生きる社会は、誰もがパンを食べられる社会でなければならないということを逆説的に…

生きていれば

生きていれば、毎日……。お腹が空いて、食事をしなくてはいけません。着ているモノは汚れて、洗濯しなければいけません。生きていくとは、そういうこと。

呪縛と解放

あと三年経てば、わたしは自由になれる。

言葉は怖い

沖縄県知事選挙の結果に対して、自由民主党の菅官房長官は言いました。「日本は法治国家で、知事が変わったからといって、行政上の裁量で(米軍基地の移設を)不承認とすべきではない」少し単語を変えてみましょう。「日本は法治国家で、首相が変わったから…

次なる野菜は

さやえんどうと大根です。畝をうねうねと作り、苗を植え、種を蒔きました。誰かと話していて趣味の話になったら、「野菜作りです」と答えようと思っています。

私の好きな作家:月村了衛

現在、わたしが文庫化を待たずに単行本で追いかけているのは、船戸与一と五條瑛、そして、月村了衛です。初めて手に取ったのは『機龍警察』。その“完全版”が刊行され、もちろん購入、再読と相なりました。最初に魅力を感じたのは文体、物語る調子でした。ひ…

実感

BOX

テレビのボクシング中継を見ていて実感が湧かなかったけれど、ジムに通って練習するようになって理解でき、大きく頷いたことがあります。解説者の次の言葉です。「残り30秒あれば時間は十分。KOするチャンスはありますよ」そのラウンドの最後の(たった)30…

同じ目の高さ

第二次世界大戦の後、一つの国の中、あるいは地域内でのものはあっても、世界中を巻き込んでの戦争はありませんでした。もちろん、公的な形で軍隊を派遣した国もありましたが、国を挙げての総力戦ではなく、国として参戦するものではありませんでした。それ…

冷たいハードボイルド

船戸与一は、ハードボイルドを「暴力のみが機能する状況の最前線で行動のみを志す者、硬派を描いた物語」(意訳)と定義します。ならば、『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』『スクールボーイ閣下』『スマイリーと仲間たち』で描かれたジョージ・…