幻想が描く真実
わたしたちが確固として揺るぎないと思っている価値観。その共通認識がなくては、社会は成立しません。
しかし、人ひとりが知っていることなど、この広い世界の中の小さな微々たるもの。
その集合体の“常識”の正体など、推して知るべし。
誰もが知っているようで知らない部分。それは、わたしたちが思っているよりも広く大きいのかもしれません。
その、人の世の真空地帯とでも云うべきもの。それこそが、幻想。
そこから逆に見た人の世は、天国か地獄か。はたまた、すべてが混濁した現し世か。
そこで生き抜く縁(よすが)となるのは、互いに相手を思いやる“善なる心”です。
悪意は、一時的には隆盛を誇るかもしれません。しかし、それは何も生まず、何も遺さず消え去るのみ。見返りを求めない素朴な善意の光に掻き消されて。
幻想の都(まち)バルセロナを舞台に、本をモチーフに謳われる人間賛歌。
本好きが手に取らずにはいられないシリーズです。
- 作者: カルロス・ルイスサフォン,Carlos Ruiz Zaf´on,木村裕美
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/10/17
- メディア: 文庫
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