2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

家族小説

家族を想う気持ちが強ければ強いほど、弱い人間の心は軋みます。そこに生まれる悲劇と希望。「卑しい生まれだからって卑しくなるわけじゃないよ」と言う少女の尊厳。「孤児に共通する夢がなんだかわかるか? おれたちの夢なんだ。産みの親が迎えにきてくれる…

作家の言葉

『文藝春秋』の三月臨時増刊号「100人の作家の言葉」を読んでいます。新聞やテレビといった、マスメディアの言説の貧しさに辟易しているので、その埋め合わせをしたいという気持ちから手に取りました。他人に何かを望んでも、それは私の勝手。その他人の与り…

右また右

エディ・アルバレスVS青木真也。その実質的なフィニッシュブローになった、失笑混じりに語られる青木の肘の空振りの後の、アルバレスの右のショートアッパーの“二連打”に戦慄を覚えました。例えば右ストレートを打った後。伸びた右腕を元の位置に戻して再び…

想う

たくさんの、本当にたくさんの幸せが“彼女”に訪れますように。幸福と不幸の量があらかじめ決まっているというなら、その分のマイナスは私に回してください。それだけの幸せを、私は既に“彼女”からもらっているのですから。

マイノリティ憑依

「いつから日本人の言論は、当事者性を失い、弱者や被害者の気持ちを勝手に代弁する<マイノリティ憑依>に陥ってしまったのか…」(帯のコピー)佐々木俊尚の『「当事者」の時代』は、“マイノリティ憑依”をキーワードに、世の趨勢と戦後の日本人の精神史、そ…

壁登り

ウォールクライミングに初挑戦しました。ボクシングジムに通っていて体力に自信はあり、お試し体験コースの30分という時間ではもの足りないのではないかと思いましたが……。甘く見ていました。すぐに握力が落ち、スタート位置に身体を固定することすら辛い状…

日本を愛する異邦の人

初めて読んだカレル・ヴァン・ウォルフレンの著書は『人間を幸福にしない日本というシステム』。著者については何一つ知らず、タイトルに惹かれて手にしました。続いて読んだのは代表作の『日本/権力構造の謎』。日本で暮らしていれば皮膚感覚で理解して、あ…

『峰不二子という女』

アニメ『ルパン三世 峰不二子という女』を見ました。「新しいものを作るんだ」という作り手の気概が伝わってきて、興奮とともに好印象を持ちました。視聴者に媚びない。それは、「わかる人だけわかってくれれば良い」という、一見潔いようでいて実は事前に言…

凡戦に思う2

亀田興毅の無残な姿は、ボクシングも含めた日本の格闘技界の衰退の象徴です。“自称”格闘技ファンが彼を嘲笑するなら、それは自分自身を愚弄することです。

凡戦に思う1

亀田興毅の世界タイトルマッチ。試合当日も、結果が出た翌日も、読売新聞のスポーツ欄では、写真も載らず、同日に行われた清水智信の方が大きく扱われていました。特に、翌日の記事では、ランキング下位の選手とばかり試合をしていることがはっきりと指摘さ…

水を差す

ミャンマーで、長く虐げられてきた人々が解放の興奮に酔っています。ミャンマーの人々は、反権力が権力になる過程で、この言葉を知るでしょう。「権力は腐敗する」軍政が腐敗したなら、反軍政も同様に腐敗するのは自明の理です。冷徹な人は、既にその先を見…