アニメ

己を頼む

何故か、劇場版『新訳Ζガンダム』で最も印象に残っている台詞。主人公たちと敵対する、地球連邦軍のブラン・ブルターク少佐の出撃間際のものです。ブラン:「強化人間のロザミアの性能のチェックもして、アウドムラ(敵側の航空母艦)の足も止める。楽なゲー…

閉塞

『機動戦士ガンダム サンダーボルト』、素晴らしい作品です。しかし、そうであればあるほど、この作品がオリジナルなものとして世に出ることが出来なかったこと、ガンダムの名を冠にしなければ企画が通らなかったことに、漫画ないしアニメ業界の閉塞を感じざ…

元祖じゃじゃ馬

これもまた反骨の物語です。前半のラブコメよりも、紅緒が職業婦人として働きだしてからの方が好きだった、ませガキ。そして、いま思い浮かぶキャラクターが「印念中佐」というのが、なんとも。

三悪人

心に勇気の火を点そう。そう、何度でも立ち上がった、この三人のように。

二人の戦い方

『機動戦士Ζガンダム』の最後、カミーユ・ビダンはパプティマス・シロッコを糾弾します。「戦争を遊びにしている」と。そして、身体ごとぶつかっていったカミーユは、シロッコを倒したものの、心が壊れてしまいます。時を経て、『∀ガンダム』での物語後半。…

戦う相手は誰ですか

サイボーグ戦士たちが戦ったのは、世界制服を企む悪の組織ではありません。

作家性

アニメ『ルパン三世』で、主人公のルパン三世の声を担当していた故山田康雄は、声優という言葉、職業を否定していました。自分(たち)は役者であると。富野由悠季は、アニメの制作に携わる人たちがアニメ以外の芸術作品に触れることの大切さを説きます。そ…

『ヱヴァQ』雑感2

『ヱヴァQ』に登場する二人の新キャラクター、鈴原トウジの妹とピンクの髪のオペレーターは、観る者にとって嫌味な描かれ方をしています。二人とも、サードインパクトを起こした張本人として碇シンジを憎んでいます。しかし、シンジに対して面と向かって批判…

『ヱヴァQ』雑感

映像作品の見せ方(魅せ方)は、小説でいえば文体です。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』は、その文体に特化した作品という印象を持ちました。脚本の瑕疵や不備については既に多く論じられていますので、それらについて書くことは差し控えます。この『ヱヴァ…

パプティマス・シロッコ

『機動戦士Ζガンダム』で、パプティマス・シロッコは理想と理念を語り、カリスマの如き存在感を持ちます。しかし、その正体を喝破した人物が二人います。一人はカミーユ・ビダン。最後の一騎打ちでシロッコを断罪します。「戦争を遊びにしている」と。一人は…

クワトロ・バジーナ

『機動戦士Ζガンダム』で、シャア・アズナブルは素性を隠してクワトロ・バジーナを名乗っています。ベルトーチカ・イルマは、その正体を知らぬまま、シャアをこのように評します。「なんだか怖い人ね、ギラッとして。戦争以外の世界では生きていけない人じゃ…

バスク・オム

『機動戦士Ζガンダム』の最初期の一場面。エゥーゴとティターンズの間で戦端が開かれたとき。物資を運ぶコンテナに同乗して僚艦へ移動中のティターンズのバスク・オム大佐は、エゥーゴの戦艦アーガマの砲撃の衝撃に揺られながら呟きます。「戦争だな」と。七…

発熱しよう

暑中お見舞い申し上げます。熱さを以って暑さを制す。この夏、アナタは何に燃えますか?

『峰不二子という女』

アニメ『ルパン三世 峰不二子という女』を見ました。「新しいものを作るんだ」という作り手の気概が伝わってきて、興奮とともに好印象を持ちました。視聴者に媚びない。それは、「わかる人だけわかってくれれば良い」という、一見潔いようでいて実は事前に言…

語り継ぐ

アニメ『伝説巨神イデオン』の、宇宙的カタストロフィによる終幕はあまりにも有名です。富野由悠季の小説『伝説巨神イデオン』は、「そのこと(上記の宇宙的カタストロフィ)が過去、現在、未来のいつの日の時のことであるか、人の知るところではない。」と…

『ルパン三世』を語る3

テレビの優良コンテンツになるということは、より幅広く受け入れられるということであり、それは『ルパン三世』が、その魅力であった毒と牙を失う過程でもあります。それが良かったのか悪かったのか。私は「禍福はあざなえる縄の如し」「人間万事塞翁が馬」…

『ルパン三世』を語る2

「時代が追いついた」と評された『ルパン三世』は、セカンドシリーズが製作され、「わかりやすさ」を前面に出した作風で人気を博し、キャラクターの個性も浸透しました。その中で作られた、宮崎駿監督の映画『ルパン三世 カリオストロの城』。それは、『ルパ…

『ルパン三世』を語る1

『ルパン三世』は、アニメ作品のヒットによって優良コンテンツになりました。しかし……、モンキー・パンチ曰く、「『ルパン三世』を世に出してすでに二十年以上になる。当時は紙に印刷という媒体で、そのアソビの面白さを読者と一緒に楽しみたいと思ったのが…

『機動戦士ガンダムF91』

1991年の時点で、既に「頼りになる“大人”がいない社会」を描いていた富野由悠季。その作品の主題歌が謳う命の賛歌。目を閉じて、その歌詞を噛み締めたい曲です。

ガンダム雑感②

漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』がアニメ化されます。作れば売れるのは、誰の目にも明らか。なら、それを作るのは企業として健全な態度です。しかし、“ガンダム”の名を冠した作品が絶えず作られ続けている状況とともに、それはクリエイティビティの貧困…

ガンダム雑感①

ガンダムの生みの親といえば、誰もが富野由悠季を思い浮かべます。その富野由悠季は、アムロとララァの出会いを描いた小説『密会』を書いた際、「将来、ガンダムの原作と呼ばれる作品」とコメントしています。その数年後。『機動戦士ガンダム』が安彦良和に…

オンナのセリフ①

『∀ガンダム』は、男たちの物語である以上に、女たちのドラマです。互いに理解できず、軋轢を増すばかりのムーンレイスと地球の人々。月の女王ディアナ・ソレルと入れ替わったキエル・ハイムは相互理解と融和を説きます。そして、敵が増長するとの諫言を受け…

『アキラ』

「いつかは私たちにも」「もう、始まっているからね」 by『AKIRA』

言葉は刃(やいば)

「世の中に不満があるなら自分を変えろ 。それが嫌なら、耳と目を閉じ、口をつぐんで孤独に暮らせ」by草薙素子私が書いているのは、単なる思考の排泄に過ぎないのではないか。その自戒を込めて。

思いっきり

私には“無性に青春もの(の小説)が読みたくなる発作”という持病があります。いつまでも一緒だと思っていた友だち。いつまでも続くと思っていた毎日、あの夏。思いっきり笑え、泣け、叫べ。喜べ、悲しめ、怒れ。そして、跳べ!

応援歌

男なら燃えろ。女なら痺れろ。

船戸与一は、ハードボイルドを「ハードボイルド小説とは帝国主義がその本性を隠蔽しえない状況下で生まれた小説形式である。したがって、その作品は作者の思想が右であれ、左であれ、帝国主義のある断面を不可避的に描いてしまう。優れたハードボイルド小説…

月に叫ぶ

ロラン・セアックが月に叫んで幕を開け、ソシエ・ハイムが月夜に泣き叫んで幕を閉じた『∀ガンダム』。映画『2001年宇宙の旅』のモノリスが人類の進化の節目に存在したように、月もまた、そこにあり、地球上の人間の営みを見続けてきました。古の人々が見上げ…

祝着至極

「彼(シャア)は個人的な感情を吐き出すことが、事態を突破する上で、一番重要なことではないのかと感じたのだ。」『機動戦士Ζガンダム』で、クワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)は、カミーユ・ビダンにこう言います。そういえば、『ゼータ』のコンセ…

願い事一つだけ

もしも願い一つだけ、叶うなら……。私の寿命の、残りのうち三十年をお返しします。私よりも生きるに値する人たちに分け与えてください。それでも足りないなら、この命、差し上げます。