2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

続:怖い本

不満を刺激されて熱狂し、他国を侵略することを奪われた権益の回復で当然のことと支持し、状況が悪化すれば政治的指導者の言葉を信じなくなる。この大衆の主体性の無さを、当時のドイツ国民に限った特性と切り捨てる人はいないでしょう。半藤一利は、ある著…

怖い本

わたしが本を読むのは、知らなかったことを知るのが楽しいからです。それは知識であったり、物事の見方や解釈であったり、つまりは新しい世界を知るということで、手に取る本が小説であれノンフィクションであれ、同じです。歴史小説を読む場合も、現代に通…

閉塞

『機動戦士ガンダム サンダーボルト』、素晴らしい作品です。しかし、そうであればあるほど、この作品がオリジナルなものとして世に出ることが出来なかったこと、ガンダムの名を冠にしなければ企画が通らなかったことに、漫画ないしアニメ業界の閉塞を感じざ…

日常のハードボイルド

探偵小説で、探偵は依頼を受けて人を探し、その道程が物語となります。その人探しを自分の(仕事の)ためにする雑誌編集者を主人公にした“日常のハードボイルド”というコンセプトが秀逸です。古い特撮作品を扱う雑誌の取材ということで、その人探しのベクト…

我がこと

ネットも含めて媒体を問わず、「他人より気の利いたことを言う」ことに重きを置く風潮があります。それは、芸能人がコメンテーターの役割も割り当てられるようになったことに顕著です。高村薫が時事的な評論を書くようになった当初、その内容について否定的…

物語る

このゴールデンウィークは横溝正史週間にしようと、二冊立て続けに読みました。謎解きを主眼とするミステリーの醍醐味は終盤での読者を驚かせる謎解きで、物語のすべてはそこに収斂します。そこに至る作中の出来事はすべて最後の驚きのためにあるのであり、…