2015-01-01から1年間の記事一覧

『杉原千畝』

映画『杉原千畝』を観ました。まず何よりも、船戸与一の“満州国演義”シリーズを読んでいることが財産になっていることを語りたい。物語は満州国から始まります。スクリーンに映し出されるその街並みを見て、それだけで胸がいっぱいになりました。船戸与一が…

お客様相談室

先の戦争の、二度の原子爆弾の投下は、日本人の民族のDNAに傷をつけたのだと、しみじみと思っています。アメリカに逆らったら国が亡ぶ。その思考を、理屈ではなく遺伝子レベルで刻まれたら、自分たちに都合が良い未来図はアメリカを頂点とした秩序であり、そ…

この冬も

この冬も、微々たる金額ですがボーナスが出ましたので、僅かですが、「あしなが東日本地震津波遺児基金」に寄付をしました。今回は、それに加えて「特定非営利活動法人 国境なき医師団日本」にも寄付をしました。ずっと「日本ユニセフ」に寄付をしてきました…

『逆回りのお散歩』

内田樹と高橋源一郎の『ぼくたち日本の味方です』で、この時代の小説の在り方が語られています。大略「わたしたちの共同体のすぐ外側に、もう一つの異なる共同体があるのではないか。それを描けるのは文学だけだ」という話です。三崎亜記の『逆回りのお散歩…

プレッシャー

安倍首相が、三世代で同居して老いた親の介護をする家庭に対しての減税を口にしたとき、半藤一利の『あの戦争と日本人』を思い出しました。そのなかで、原子爆弾の研究と開発について、大略「アメリカは国家事業として国を挙げて取り組んでいたが、日本は(…

納税の義務

かつて、民主党が大勝して政権与党の座についた選挙のとき、こう主張しました。「税金の使い方を見直して無駄な出費を抑えれば、増税の必要はない」と。その結果が“事業仕分け”という茶番劇だったことは残念でしたが、その論旨には誰もが賛成したはずです。…

聖地巡礼もどき

もう何年も、一人でお酒を飲むときのお供は、西岸良平の漫画『三丁目の夕日』と『鎌倉ものがたり』でした。汚れてもいいように、いわゆるコンビニコミックで買っていました。その『鎌倉ものがたり』の舞台の鎌倉に、生まれて初めて出かけました。鎌倉駅から…

プレゼント

人生には、歩んできた道が間違ってはいなかったことを実感するときがあります。「自分が答えになるしかない」なら、あれが“答え”だったのだと確信を持って言えます。

戦後の終わり

著者が別の著書で定義した“永続敗戦レジーム”をキーワードとして“戦後の終わり”としての現在の政治状況を論じた本です。わたしが普段考えたり、このブログに書いたりしていることと重なる部分も多く、すんなり腑に落ちる論でした。感情で話す人を理を以て説…

品格問題、再び

横綱の白鵬が“猫だまし”をしたことを批判して、また品格という言葉が聞かれます。“また”と書いたのは、そう、朝青龍のときとまったく同じだからです。“猫だまし”が禁じ手でない以上、白鵬を責める“具体的な”論拠はありません。そこで持ち出された言葉が「品…

歌おう

若者が未熟なのは自然なことです。老成した若者がいたら気持ち悪い。その裏返しで、いつまでも若さを競い、成熟することを志向しない大人もまた気持ち悪いものです。誰もが“その年齢”を経験するのです。つまり、未熟さや拙さを理由に年少者を嗤うのは自分自…

そんなもの

〇〇人は嫌いだけれど、××さんは好きだ。××さんが〇〇人の場合、この文章は成立しません。こう言う人は、××さんが○○人であることを痛烈に意識しているからです。だから、こう言えば良いのです。ただ「××さんが好きだ」と。相手が誰であれ、その人のことを知…

命を燃やせ

燃やさなかったら、生きている甲斐がない。

パリは燃えているか

思うことは多々あるけれど、いまは目を瞑ろう。

これも良い読書

その対象が何であれ、たった一冊の本を読んだだけですべてを理解することなどできません。書かれている内容を肯定するのであれ否定するのであれ、自分の考えを確立するための材料に過ぎません。ジャンルの区別なく、ノンフィクションを読む醍醐味は、わたし…

『新・映像の世紀』

100年前の人たちと現在のわたしたちに違いがあるかと問われたら、わたしは「ない」と答えます。使う道具の性能が上がっただけで、人間それ自体の中身は変わっていません。しかし、道具の性能が上がるということは、それらが使われた結果もまた大きくなるとい…

購入メモ

地デジ化にともなってテレビは買い換えたものの、DVDプレーヤーは“敢えて”買わずにいました。何か一枚でも映画ソフトを買ったら最後。「コレを買ったなら、同じくらい気に入っているアレも買わないと自分のなかの整合性が取れない」という理屈で二枚目を買う…

受け入れない

プロレスの話です。(初代)タイガーマスクが突如引退したあと、新日本プロレスは新たなマスクマン(覆面レスラー)を登場させました。ザ・コブラです。しかし、すべてにおいて偉大なタイガーマスクと比較されることになったコブラは、当然ながら太刀打ちで…

溺れるな

今年のハロウィンの仮装騒ぎについて、「参加者がみな好き勝手な扮装をしていて一つにまとまっていなかったことに(多様性が担保されていて)安堵した」といった意見を見聞きしましたが、何と甘い認識か。それは今回が初めてだったからであって、来年以降、…

狂騒するなかれ

今年、いきなりハロウィンが盛り上がりを見せました。不自然なほど。スーパーに行けばディスプレイも華やかに特設コーナーが設けられて、並べられている商品もメーカの別なくハロウィンのパッケージです。そして、仮装行列のニュースを見て、大の大人が奇抜…

覚悟の言葉

「わたしにとってタブローとは、愛らしく楽しく、美しいものでなければならない。 人生にはうんざりするものが余りに多いので、我々は、それと別のものを作り出す」今日、このルノワールの言葉の前で立ちすくみました。

絵本の森

「いわむらかずお絵本の丘美術館」に行きました。映画は映画館で、音楽は生でと云うように、絵本も原画で見ると一味も二味も違います。迫力が段違いです。外は冷たい山の風が吹いているものの、建物の中は柔らかい日差しが差し込んで、ぽかぽか。音もなく静…

無為な時間

夕飯の前の二十分程度、ビール及び発泡酒を飲みます。わたしにとって、そのときだけが一日のなかで唯一の“無為な時間”だからです。何も生み出さない、ただ流れていく時間。それはとても大切です。それを持てるのが、明日からは基本的にボクシングジムに行っ…

キタ━(゚∀゚)━!と叫ぶ

話には聞いていましたが、遂に。久しぶりに、定時にテレビの前に座ることになりそうです。http://www.nhk.or.jp/special/eizo/前作が20年前。何と遥々と……。当時と現在、受け手のわたしの違いとは何でしょうか。年齢? そうではありません。船戸与一の“満州…

山と海の幸彦

水族館に行きました。そこで、海の多種多様な生き物の様子を楽しむとともに、窓の向こうの海を眺めて、自宅の庭の一角で野菜を作るなかで「土の恵み」を実感していましたが、それと同じ「海の恵み」を想像しました。その自然の恵みに支えられて、わたしたち…

高校生とわたし

BOX

およそ二週間前、ボクシングジムで、高校生にストレッチを教わりました。それよりも数週間前、念入りに身体をほぐしている様子を見ていて興味を持ち、わたしから教えてほしいと頼みました。わたしが知らない動きもあり、いままで意識したことのない部位も動…

いも掘り大会

本日、「いも掘り大会2015」を挙行。うんとこしょ、どっこいしょ。黒い土の中から明るい紫色のさつまいもが“ぬおっ”と出てくるのは小さなスペクタクルです。自然に「おおっ!」と声が出ます。大きいもの、小さいもの。みんな元気で、美味しそう。掘っている…

子供

漫画『ハチミツとクローバー』に、こんなセリフがあります。「子供が子供なのは、大人が何でもわかってるって思ってるところだ」元気に下校する小学生を見て、こんなふうに思いました。「子供が子供なのは、この世界にいるのは自分“たち”だけだって思ってる…

母と息子

父親と息子は、母親という女性を巡って争うと云います。しかし、息子にとって母親は決して女性ではなく、どこまでも“母親”という存在です。そして、息子は(父と母の両方の)親を疎ましく思うものです。それでも他人になることはできず、家族という不思議な…

それは感傷だ

かつてのPRIDEのスタッフが再集結して年末に格闘技イベントを開催するというニュースが流れました。あの熱気よ、もう一度。その気持ちはわかりますが……。失くしたものが再び戻ってくることはありません。もし戻ってきたとしても、それはもう、かつてアナタの…