政治

失望と諦観

民主党への失望は、ただ民主党に向けられたものでしょうか。その政権末期、野田佳彦首相(当時)のとき。既に政権の基盤と呼べるものはなく、野党の自由民主党の協力がなければ何一つ決められない状態でした。そうして政策議題の俎上に上がったのが原子力発…

期待と失望

安倍首相の長期政権を可能にしている要因の一つに、かつての民主党政権への幻滅があると指摘されています。期待と失望は一枚のコインの表と裏。その大きさには相関関係があります。安倍首相と彼の率いる自由民主党の現在の隆盛をもたらした“民主党への失望”…

父との約束

いまは定年退職していますが、わたしの父親は田舎の公務員で、わたしが二十歳になったとき、一つ頼まれて約束したことがありました。選挙があったときは投票すること。誰に投票しろとは言わない、それは個人の自由であり干渉しないが、必ず投票はするように…

印象と数字

ここ最近、安倍首相を批判する際、「民主党(が政権与党にあった)時代は言うほど悪くなかった。これこれの数字は安倍内閣の現在より良い」という言説が見られます。一方、安倍首相を支持する人たちは、各種の様々な数字を挙げて、その手腕と成果を褒めそや…

後出しじゃんけん

かつて、立花隆(と彼のチーム)が田中角栄の金脈問題をスクープ、追求したことを、ずっと後になってから、「あの程度のことは誰でも知っていた」と評した人たちがいたそうです。このセリフを、みっともない言い訳と思わない人はいないでしょう。夢枕獏が「…

出世と保身

公文書の改竄という未曽有の惨事。日々の報道に接して、そのおぞましさに寒気を覚えます。この事件に政治家の関与が取り沙汰されていますが、そこで名前の挙がっている人たちが怖れているのは、野党の攻撃でもなければ、マスコミの批判でもありません。それ…

民草

テレビ番組『宇宙刑事ギャバン』の主題歌の2番の歌詞に、このような一節があります。「悪い奴らは天使の顔して、心で爪を研いでいるのさ」それは、こう続きます。「オレもオマエも名もない花を踏みつけられない男になるのさ」これを素直に読めば、悪い奴らと…

大義

安倍晋三首相の唐突な衆議院の解散について、「大義がない」という批判を多く聞きます。しかし、そもそも“大義”など必要でしょうか。政治が陣取りゲーム、選挙が合法的な喧嘩程度のものなら、大義などという大時代的な言葉も、それに熱中する人たちの興奮を…

たまには拗ねて

もう何年も前、ある地方銀行が経営破綻して、一時的に国営化されたことがあります。そして、一千万円までの預金とその利息は保護されるということが繰り返し何度も報道されたにもかかわらず、預けたお金を引き出そうと預金者が銀行の窓口に殺到しました。内…

祭りの後

国民の不満の受け皿になることと、その不満を解消することは違います。トランプ氏は、この溝を埋めることが出来ないでしょう。日本は、アメリカに先んじて民主党政権の体たらくという経験をしていますから、よくわかります。現状への不満を背景に、乱暴な言…

すったもんだの季節

民進党の代表に蓮舫氏が選ばれました。さあ、すったもんだの始まりです。彼女が選ばれたのは何故か? そのキャリアや政治家としての実績が評価されているからではありません。まさか、事業仕分けのパフォーマンスを挙げるひとはいないでしょう。有権者の耳目…

講演と演説

話すことも、意図を伝えるという目的がある以上、技術です。講演会などで、一人の講演者と大勢の聴衆という不均衡がありながら、巧みな話者にかかると、聴き手は「この言葉は自分に向けて発せられている」と、一対一で語りかけられているように感じます。そ…

お客様相談室

先の戦争の、二度の原子爆弾の投下は、日本人の民族のDNAに傷をつけたのだと、しみじみと思っています。アメリカに逆らったら国が亡ぶ。その思考を、理屈ではなく遺伝子レベルで刻まれたら、自分たちに都合が良い未来図はアメリカを頂点とした秩序であり、そ…

プレッシャー

安倍首相が、三世代で同居して老いた親の介護をする家庭に対しての減税を口にしたとき、半藤一利の『あの戦争と日本人』を思い出しました。そのなかで、原子爆弾の研究と開発について、大略「アメリカは国家事業として国を挙げて取り組んでいたが、日本は(…

子供

漫画『ハチミツとクローバー』に、こんなセリフがあります。「子供が子供なのは、大人が何でもわかってるって思ってるところだ」元気に下校する小学生を見て、こんなふうに思いました。「子供が子供なのは、この世界にいるのは自分“たち”だけだって思ってる…

傾奇者

国会という最も政治的な場で、喪服に焼香のポーズというパフォーマンスを演じた山本太郎。賛否両論、というよりも否の意見が多いであろうことは想像に難くありません。しかし、悪名は無名に勝ります。ほとんどの国会議員が、隣の選挙区の有権者には顔も名前…

今は昔

かつて、自由民主党の政権末期、及び民主党が与党の座にあったころ。政治の話は即ち内閣の支持率の話でした。その数字の上下に大騒ぎしていたのも、いまとなっては牧歌的とさえいえる光景です。安倍内閣が支持率に一喜一憂しないのは、彼らの権力の基盤が“国…

王よりも王派

いま、自由民主党内で、威勢の良い暴論を吐く人が後を絶ちません。彼らが自らの信条に従って発言しているのかといえば、それは否でしょう。いま、こういう趣旨の発言をすれば“党内での”ポイントを稼げるという計算が見え隠れしています。党の外でどれだけ非…

声なき悲鳴

今回の安保法制も、アメリカの意向でしょう。世界に対する影響力が落ちてきたので、一部を日本に肩代わりさせようという目論みから。それを上手く利用してやろうというつもりでしょうが、あなた方は、そこまでタフなネゴシエイターでしょうか。わたしには、…

面目躍如

政治家、特に与党に身を置いている皆さん。自分でも信じていないことをもっともな顔で喋るのは辛いでしょう。馬鹿を演じるのは屈辱でしょう。でも、理念も覚悟もなく、そのときの都合によって言葉を切り売りする皆さんには似合いの態度です。面目躍如ですね。

ヤジも言葉

ヤジも言葉です。ヤジを飛ばしたという現象だけにとらわれていては、本質を見誤ります。ヤジを飛ばすという行為は、安倍晋三首相の人間的未成熟、彼の愚かさを表しているのであり、それは彼の個人的資質の問題に止まります。それは政治とは別の話です。そこ…

与えられた玩具

日本国憲法がアメリカから押し付けられたものか云々という議論は、不毛を通り越して無意味です。敗戦国に、新たに自前の憲法を作る権利も能力もありません。アメリカの主導で作られたのは事実でしょう。しかし、肝心なことを見落としてはいけません。戦後統…

責任の取り方

かつて、テレビの刑事ドラマは若者の成長物語でした。彼らは未熟さゆえに失敗し、壁にぶつかり、事態を混乱させてしまいます。そして、自信を失い、警察手帳と手錠、拳銃を上司に差し出します。「責任を取って辞めます」と言って。上司は、「そうやって、す…

ごっこ遊び

涙を浮かべながら「罪を償わせる」なんて、なんと情緒的な対応でしょうか。「オレも各国の首脳と同じ舞台に立っている」というヒロイックな気分が溢れんばかりです。しょせんは、お坊ちゃんの政治ごっこでしかありません。不本意な形で命を奪われた二人に哀…

堕ちていくのも

選挙結果の予想とともに、投票率が低いであろうと報道されています。「なんだ、自分が投票してもしなくても、結果は決まっているなら、わざわざ投票に行く必要もないな」という予断を与えようという意図が明確です。わたしは、獲得議席数の予想よりも、投票…

言葉は怖い

沖縄県知事選挙の結果に対して、自由民主党の菅官房長官は言いました。「日本は法治国家で、知事が変わったからといって、行政上の裁量で(米軍基地の移設を)不承認とすべきではない」少し単語を変えてみましょう。「日本は法治国家で、首相が変わったから…

二重権力構造

戦後、日本は民主主義を標榜しながら、その実質は官僚がコントロールする社会主義の国だと云われてきました。その中で政治家、特に総理大臣の“指導力”など個人の資質に関係なく端から無いものであり、その必要性を云々するのはナンセンスだとも。安倍晋三首…

自らを否定する

国会議員は有権者の代表に過ぎません。選挙によって負託を与えられ、市井の声を汲み上げて国政に活かすために存在するのであって、決して統治者ではないはずです。大略「国会議員でない者は国政に口を出すな」という物言いは、(国会議員でない)有権者が自…

ないということ

先日、ボクシングジムでディフェンスの練習をしていたとき、追い込まれて連打を受ける状態になってしまったら、どのように対処したら良いか訊いたところ、「そういう状態になったのは自分が悪いのであって、まず考えるべきは、そうならないようにすること」…

ターニングポイント

都議会の野次問題に関して、自民党内で緘口令が敷かれているそうです。 まったくバカだな。安倍首相にとって滅多にないチャンスなのに。それが正しいのか間違っているのか判断できないまま、はっきりと自説を述べる安倍首相の姿を是とする大衆は、結局のとこ…