出世と保身

公文書の改竄という未曽有の惨事。日々の報道に接して、そのおぞましさに寒気を覚えます。

この事件に政治家の関与が取り沙汰されていますが、そこで名前の挙がっている人たちが怖れているのは、野党の攻撃でもなければ、マスコミの批判でもありません。

それは、官僚の裏切りです。

人事権を掌握されたがために、出世こそ正義という特質を持つ官僚が不正を行ってまで政治家の歓心を買おうとしたのだと言われています。

自らの過ちを認めない、謝罪しないのが官僚(公務員)です。何故なら、それが組織内での立場を失うことと直結しているからです。

であるならば、保身のための保険を用意していないはずがありません。改竄前の元資料が廃棄されず残っていて、それが表に出てきたことが一例であり、証拠です。

まだまだ隠し玉はあるはずです。

自分たちの出世に資することのない政治家を庇う必要はありません。

自分たちの立場を危うくする政治家のために犠牲になる義理もありません。

官僚に見捨てられる政治家は誰か。

犠牲になるのは、いつだって弱い者です。悲しいことに、官僚の中から自殺者が出てしまいました。ノンキャリアで、組織の中で不遇な立場にあったと報道されています。また、証人喚問の話も出ています。

その人たちがスケープゴートになって事件が収束する、とはならないでしょう。それだけでは、関わった官僚たちが批判的な世論から自らの身を守るには弱いからです。

これまでにも数えきれない汚職、疑獄、不祥事にまみれてきた政治家(という人種)こそ、批判の目を逸らす生贄として相応しい。

最後に笑うのは、誰か。