2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

負ける読書

伊丹十三の『日本世間噺大系』を読みました。多方面で活躍した人で、人によって捉え方が違うでしょうが、わたしにとっては映画監督です。抱くイメージはダンディズム。ずっと興味がありましたが、新刊書店はおろか古本屋で見かけることも少なく、手に取る機…

こころの話

「人間は言葉によってのみ真に思考する」(立花隆)なら、その外側に出ることが出来ないのもまた一面の真理。しかし、その言葉の重なりは生まれ育った国が違えど無限です。試合とは「試し合う」と書きます。相手がいてこそ自分を知ることが出来ます。敵を知…

『親を送る』

井上理津子の『親を送る』を読みましたが、感想を書くことが出来ません。文章の一行一行が、言葉の一つひとつが塊となって胸を打ち、それらを咀嚼して自分の言葉にするという作業に取り掛かれません。この本を読んだということのみを記します。親を送る: そ…

『ニセモノの妻』

現在の日本と似ているけれど少し違う世界、架空の国を舞台に、現実とは違う常識、価値観に基づいて暮らす人々を描く三崎亜記の作品を読むと、わたしたちが常識として疑わない価値観の脆弱性を思い知らされます。その逆説的なリアリティが魅力の作家です。そ…

『贖罪の街』

マイクル・コナリーの『贖罪の街』を読みました。前作の最後を承けて、ハリー・ボッシュはロス市警を追われた立場にあり、弁護士のミッキー・ハラーのために殺人事件の調査をすることになります。犯人を訴追する側と、弁護する側。そのルビコン川を越えたボ…

ご挨拶

明けましておめでとうございます。日々はあまりにも速く流れ、その変化に追いつくことも出来ません。おもに読んだ本の感想を書いている当ブログですが、この程度のことを書くのに一時間かかることもざらです。しかし、その時間が、わたしを立ち止まらせ、現…