こころの話

「人間は言葉によってのみ真に思考する」(立花隆)なら、その外側に出ることが出来ないのもまた一面の真理。しかし、その言葉の重なりは生まれ育った国が違えど無限です。

試合とは「試し合う」と書きます。相手がいてこそ自分を知ることが出来ます。敵を知り己を知れば百戦して危うからず。その謙虚さを持てず、自分の価値観を絶対視し、相手の都合を無視した結果が先の戦争の敗戦です。

中国語という言葉からその国民性に迫ろうとする本書は、まず「あいづち」の定義から始まります。その厳格さに度肝を抜かれました。すべてにおいて思考の条件や前提を疎かにせず論を組み立て展開していく姿は力強く、そこにあるのは優劣ではなく差異なのだという事実を訴えかけてきます。

人が言葉を使うのか、言葉が人を作るのか。そして、何が“こころ”を育てるのか。

大丈夫だと、わたしは思いますし、言い続けるつもりです。