2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

通商の話

FTAは「自由貿易協定」と訳されます。その拡大版がTPPです。特定の相手と、それ以外の大勢とは異なる互いに有利な取り決めをすることが、果たして“自由”と表現すべきものなのでしょうか。疎外された者が、ならば自分たちもと同じことをすれば、それは複数の…

『暴力の教義』

ボストン・テランの『暴力の教義』はメキシコ革命を背景に、父親と息子の奇妙な道行、葛藤が血と暴力とともに描かれます。台詞でも地の文でも、登場人物の心理描写はおろか、その行動に至った理由すら書かれません。打海文三とはまた異なる、行動の羅列。感…

パプティマス・シロッコ

『機動戦士Ζガンダム』で、パプティマス・シロッコは理想と理念を語り、カリスマの如き存在感を持ちます。しかし、その正体を喝破した人物が二人います。一人はカミーユ・ビダン。最後の一騎打ちでシロッコを断罪します。「戦争を遊びにしている」と。一人は…

クワトロ・バジーナ

『機動戦士Ζガンダム』で、シャア・アズナブルは素性を隠してクワトロ・バジーナを名乗っています。ベルトーチカ・イルマは、その正体を知らぬまま、シャアをこのように評します。「なんだか怖い人ね、ギラッとして。戦争以外の世界では生きていけない人じゃ…

バスク・オム

『機動戦士Ζガンダム』の最初期の一場面。エゥーゴとティターンズの間で戦端が開かれたとき。物資を運ぶコンテナに同乗して僚艦へ移動中のティターンズのバスク・オム大佐は、エゥーゴの戦艦アーガマの砲撃の衝撃に揺られながら呟きます。「戦争だな」と。七…

過半数

かつて自由民主党が政権与党にあった頃。総理大臣が誰かに関係なく、その時々の最大派閥が支配力を持っていました。それは数の力。多数決の話です。キーワードは過半数。国会という大きな枠組みの中で、過半数を超える議席を有する集団が与党として権勢を振…

目論み

何事、当初の目論見通りには運ばないものです。そう考えたとき、私が思い出すのは昭和の全日本プロレスです。ジャンボ鶴田は、ジャイアント馬場の後継者として全日本プロレスに入団し、馬場の衰えとともに、入れ替わるようにメインイベントを任されるように…

省みる

新聞やテレビで“第三極”という言葉が踊っています。しかし、振り返ってみましょう。それほど遠くない過去。“反自民”という旗印の下に集まった細川連立内閣は、その目的を果たした後、あっさり崩れ去りました。“政権交代”という宿願を果たした民主党は、寄り…

生存競争

『世界に一つだけの花』について、「競争を避ける言い訳」「努力を否定する」という趣旨の批判があります。確かに、やることなすことが上手く行かずに落ち込んでいるときに聴くと、耳に心地好く響きます。しかし、それはまやかしです。花が美しいのは、香り…

買い方売り方

最近、お菓子や特産品の訪問販売が多いです。片手で引けるカートに商品を積み、一軒一軒回っているようです。物が売れない状況が続いていますが、もう一つ思い浮かべたことがあります。例えば家電製品で、まず量販店に出向いて品物を確認し、それからネット…

臆病

「武士道と云ふは死ぬことと見つけたり」の一文が有名な『葉隠』を題材にした隆慶一郎の『死ぬことと見つけたり』の主人公たちは、毎朝必ず、布団から起き出す前に自分が死ぬ場面を克明に思い描きます。そうして、その日一日を“死人(しびと)”として生きま…