2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『運命の日』

映画『アンタッチャブル』よりも前の時代。ロシア革命の衝撃は大西洋を越えてアメリカに渡り、価値観と秩序が揺らいでいます。デニス・ルヘインの『運命の日』は、ボストンで起きた警官のストライキと、それに伴う暴動を扱いながら、二人の青年の姿を通して…

弛緩と緊張

BOX

ボクシングジムに通い始めて八年が過ぎた。来週からは九年目。自らに課すこと①試行錯誤を繰り返しつつ、そのベースにリズム、弛緩と緊張のメリハリを意識すること。②捨てパンチにも意味がある。それも含めてロジカルな組み立てを理解すること。③続けること。

目的と手段

「別冊・プロレス昭和異人伝」のshingol氏が肉体改造に取り組んでいます。それに関する記事を拝読して、私は船戸与一の『神話の果て』を思い出しました。『神話の果て』の主人公はフリーランスの破壊工作員です。彼は凄まじい緊張を強いられる“仕事”を完遂す…

空虚な祭り

オリンピック招致に関する調査で、日本国内の支持率の際立った低さが話題にもならず、それでも報道されています。民意だ世論だと声高に叫んでいながら、自分たちの意に沿わない数字が“外部の機関”によって出されると、「意識や意欲に欠ける」だの、「これか…

『上流社会』

ビング・クロスビーとフランク・シナトラ。画面にいるのは二人だけ。これこそ、男の真剣勝負でしょう。

Always

泣いてなんかいない。煙が目にしみただけさ。

一歩後退

K-1について続けて記事を書きましたが、いくつか事実誤認がありました。権利や商標の動きとともに、誰が携わり、誰が係わらないのか、もう一つはっきりしません。それらをきちんと把握できるまで、K-1について書くことは控えようと思います。それに、K-1の名…

雌伏のとき

新生K-1は海外での大会が報じられるばかりです。K-1の魅力の一つは他流試合の緊張感でした。そして、“日本発祥の格闘技”というフレーズがファンの自尊心を満たしました。それが、独自ルールを敷くキックボクシングの亜流の一つとして、その名前だけ海外で生…

喝采の中で

桜庭和志の引退試合は公式にアナウンスされたものではありませんが、その時期であることをファンは知っています。桜庭が引退を決意する際の最大の要素は、ファンの視線ではないでしょうか。自分を見つめる目に純粋な応援や興奮ではなく、痛ましいものを見る…

自省的雑感

桜庭和志VS青木真也。桜庭の身体は満身創痍、アクシデントがない限り、青木の勝利は間違いないでしょう。この試合は、どちら強いのか白黒つけるというものではありません。ましてや、最強を決める戦いでもありません。これは桜庭の引退試合とされています。…

夢を見た

高度数千メートルの上空、音のない世界。空の青は薄く、地の緑は遠い。ヘリコプターの後部座席に座る私は、動く気配に横を見た。そこには、機体が傾いているわけでもないのに座席の上を滑り、その向こうに何故かドアはなく、外に落ちようとしている“彼女”の…

老婆心

就職活動に失敗したことを理由に自殺する若者が増えているというニュースを知り、僭越ながら一筆したためます。社会人と学生の大きな違いは、“好き嫌い”が人間関係に反映する度合いです。学生なら、嫌いな相手と距離を置くことができます。しかし、社会人は…

『銃・病原菌・鉄』補遺

『銃・病原菌・鉄』には、新大陸の“発見”について、「ヨーロッパからアメリカへの侵攻という事実があり、では何故、その逆はなかったのか」というテーマがあります。「ハードボイルド小説とは帝国主義がその本性を隠蔽しえない状況下で生まれた小説形式であ…

『銃・病原菌・鉄』下巻

南極を除く、ユーラシア、南北アメリカ、アフリカ、オーストラリアの各大陸、その他の多くの島々の形までもが環境を決定づけ、人類の歩みに影響を与えたとする論旨には度肝を抜かれるとともに、大きく頷かされました。と同時に、読んでいて、ひろさちやの“仏…

正しいだけでは足りない

魑魅魍魎が跋扈する、面子と実利が複雑に絡み合う政治の世界で、錦の御旗=自分の正しさを振りかざして猪突猛進しても、自己満足しか生みません。それも、「結果は良くなかったが、自分は正しいことをした」というだけの。中国の盲目の人権活動家、陳光誠氏…

優良物件

とにかく素晴らしい物件なんです。きっと喜んでいただけると思いますよ。最新の技術で設計、管理されていて、快適この上ありません。建物の補修や清掃といった維持管理は、すべてお任せください。皆さんのお手は煩わせません。特に毎日の掃除は大切です。皆…

『銃・病原菌・鉄』上巻

現在、文庫化に欣喜雀躍した『銃・病原菌・鉄』の上巻を読んでいるところです。まだ30ページほど残していますが、第二部までが終わったところ、そこからは下巻に続く第三部ということでキリが良いので、感想にもならない感想を。人類の歩みを語る、この本。…