目的と手段

「別冊・プロレス昭和異人伝」のshingol氏が肉体改造に取り組んでいます。それに関する記事を拝読して、私は船戸与一の『神話の果て』を思い出しました。

『神話の果て』の主人公はフリーランスの破壊工作員です。彼は凄まじい緊張を強いられる“仕事”を完遂するために、オフの期間は徹底して弛んだ生活を送って精神と身体を休めます。そうして一たび依頼を受ければ、節制と自己鍛錬によって、その“仕事”に耐え得る肉体を再び身に纏います。

shingol氏がかつての肉体を取り戻そうとしたのは、その肉体を以ってしなければ達成できない目標があるからでしょう。

目的=達成すべき目標

手段=それを可能にする肉体

この場合、目的のために手段を(エネルギーを費やして)手に入れなければなりません。

目的が手段を要求し、手段を手に入れようという意志を持ったときには既に、手段は目的の一部と化している。あるいは重なっている。

この“目的と手段の渾然一体化”は面白い。

神話の果て 【新装版】 (講談社文庫)

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