2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ネズミと少女

冲方丁の『マルドゥック・スクランブル<完全版>』を手に取っていて、全三巻の第二巻を読み終えたところです。旧版が発売されてから十年以上。高い評価は知っていましたが、美少女とSFという組み合わせに食指が伸びずにいました。それを、今になって読む気…

絶縁状

女子プロレスのジャッキー佐藤が亡くなった時、ある女子プロレスラーが、大略「不謹慎だが、私が死んでも、このように大きく報道され、多くの人々の関心を集めることはないだろう。あらためて、その偉大さを実感している」と語っていました。その女子プロレ…

UWF幻想

かつて、プロレス団体は、テレビ局からの放映権料が無ければ経営が成り立たないというのが常識でした。それを覆したのが新生UWFでした。あの頃、既存のプロレスに物足りなさを感じていたファンは、新生UWFという新しい刺激の登場に歓喜しました。そして、飢…

格闘技オリンピック

かつての格闘技バブルを基準に大規模な大会を開催しては負債を抱えていくのはナンセンスです。と同時に、個々人が、個々の団体が、既存のファンを繋ぎ止めることに汲々として、結果的に自分たちだけの世界に自閉していく先にあるのはジャンルの消滅です。個…

祭りの後

ドラマの最終回、盛り上がったクライマックスの後。その先に待っているのは、決して描かれることのない日常です。映画は、魅力的な悪役がいてこそ引き締まります。プロレスのリングは、憎々しいほどに強いヒールがいてこそ盛り上がります。複数の人間が団結…

「撃つな」

カダフィが「撃つな」と叫んだというニュースを見て、私は船戸与一の『猛き箱舟』を思い出しました。海外に進出する日本企業が現地で軋轢を生むたびに、それを暴力的手段で解決する隠岐浩蔵。渾名は灰色熊(グリズリー)。日本の経済的繁栄を側面から、汚れ…

秋の夜長

秋の夜長に、ふと立ち止まってみませんか?この曲を、アナタと一緒に聴いてみたい。そんなふうに思いました。

「赤とんぼ」

過日、“イ・ムジチ合奏団”のコンサートに足を運びました。クラシック音楽の楽曲について詳しくもなければ、専門知識もありません。それでも、その演奏に身も心も震えました。リッカルド・ムーティ以来の感動。音楽って素晴らしい。映画『ラスト・エンペラー…

感謝を込めて

九年間の感謝を込めて。※「埋め込みがリクエストにより無効」となっていますが、通常のYouTubeの画面にてご覧いただけます。

お金の話

人間の歴史は、戦争の歴史です。それは領土(土地)の取り合いです。版図の拡大=国力の増大という図式。そして、国力とは、経済的支配力でもあります。“貨幣”と“通貨”の違いを問い、その“通貨”という視点から近現代史を再構築した、浜矩子の『「通貨」を知…

ムゲン地獄

無限、無間、夢幻。本を少し読み、午睡のまどろみへ。幸せな時間。……と思ったら、とんでもない出来事が。いつにも増して眠くて閉じようとする目を無理やり開きながら起き出して、(何故か)掃除機が出しっ放しの廊下を歩きながら、ふと感じる違和感。「あれ…

『荒野へ』

“荒野”といって私が思い出すのは、五木寛之の『青年は荒野をめざす』です。そのイメージを持って手に取った、ジョン・クラカワーの『荒野へ』。裕福な家庭環境を捨てて放浪の旅に出て、極寒のアラスカで衰弱死した若者を扱ったノンフィクションです。『青年…

ホークス優勝に寄せて

「鷹は舞い降りた」との興奮とは裏腹に、フランチャイズを福岡に移した後、ホークスは低迷していました。理由は色々あったでしょうが、要するに弱かったのです。それは“世界の王”を監督に迎えても変わりませんでした。その王貞治監督は、率いるチームが弱小…