UWF幻想

かつて、プロレス団体は、テレビ局からの放映権料が無ければ経営が成り立たないというのが常識でした。それを覆したのが新生UWFでした。

あの頃、既存のプロレスに物足りなさを感じていたファンは、新生UWFという新しい刺激の登場に歓喜しました。そして、飢えました。従来のようにテレビの電源を入れれば見ることができる、とはいかなかったからです。

飢えを満たすためには、新しい刺激を味わうためには、会場に足を運ぶしかありません。どの大会もチケットは即日完売。観客動員数は他のプロレス団体を凌駕しました。会場に入れなかったファンは試合を収録したビデオを買い求めました。

新生UWFは、テレビ放映がないことを逆手に取り、ブランドの価値を向上させました。

ここ数年、CDの売上げが激減し、音楽業界が犯人探しに躍起になっています。環境が変わったことに気付いているのに、気付かないふりをして、原因を自分以外の誰かに求めている、悪いのは自分ではないという言い訳を探している様子は滑稽です。

環境が変わったということは、ルールが変わったということです。そして、ルールが変われば戦い方も変わるのです。

テレビの視聴率が全体的に低迷し、今後、娯楽の王様の地位に留まることができないのは誰の目にも明らかです。それなのに、地上波のテレビ放映の有無、その視聴率に一喜一憂するのはナンセンスです。音楽業界の右往左往と五十歩百歩です。

死中に活あり。ピンチの後にチャンスあり。

自分たちのやっていることに誇りを持ちましょう。