2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ペーパーバック

自分が書きたいのは文学作品ではなく、ペーパーバック。五條瑛は、自らの小説家としての立ち位置を明確にしています。それは、文学賞とは無縁の作家人生を全うした大藪春彦の系譜に連なります。その作家が唯一受賞したのが「大藪春彦賞」というのも粋です。…

『鷲たちの盟約』

大恐慌の真っ只中で、ルーズベルト大統領が暗殺されていたら……。実際には未遂に終わった事件を“歴史のIF”で書き換えたら、そこに現れるのは歪な異世界です。ヨーロッパではナチスドイツが快進撃を続け、アメリカではポピュリストの大統領が独裁を敷いていま…

口直し

つまらない記事が続いたので、ここで一曲。

鼻白む

反原発を主張する人たちの代表が野田総理大臣と面会したとのことですが、これを何がしか意味のあることと考えるのは短絡です。このニュースを知って、私は鼻白みました。野田首相が「NO」と言うのはわかりきったことで、当人には痛くも痒くもない、まったく…

声高に叫ぶということ

ミステリーには、ミスディレクションという手法があります。見事に、消費税の増税問題が吹き飛びましたな。

アリバイ作り

あれこれ揉めていますが、感情に訴えて一時的な支持を得ても、結果的にはマイナスです。相手が礼儀に欠ける態度を取ったからといって仕返しをしたら、自らを貶めることになります。礼儀に適った態度を、慣例に則った行動を心がけるべきです。誠実に、穏やか…

位置取り

あれこれ揉めていますが、感情に訴えて一時的な支持を得ても、結果的にはマイナスです。このグローバル社会の網の目の中では、ローカルという概念は成立しません。どの国で起きたことでも他人事ではありません。複雑な関係性の中では、誰もが当事者です。そ…

ほろ酔い

ともに酔おう。ワタシは嬉しい。

箴言

<箴言>とは、「いましめとなる短い句。教訓の意味をもった短い言葉。格言。」(大辞林)を云います。私は箴言集の類の本は手に取りません。「楽して良いとこ取り」という気持ちもありますが、何より、その言葉が発せられる文脈を知らずに理解などできはし…

『「東京裁判」を読む』

数字と解釈の輪舞曲。タイトルは「言い訳」。裁判は論理の世界です。「叙事の積み重ねが叙情を凌ぐ」(by船戸与一)なら、感情論など無意味です。負けたときこそ胸を張れ。それができないのは、自身の中に確固とした信念がないからです。大の大人が、自分が…

コーポラティズム

堤未果の『政府は必ず嘘をつく』は、9.11同時多発テロ後のアメリカと、3.11東日本大震災及び福島第一原発事故後の日本を重ね合わせます。キーワードは“コーポラティズム”。政府と企業の癒着です。世界のどこにも“村社会”はあるようで。民主主義を標榜しなが…

応援するということ

ここ数日の、shingol氏の「別冊・プロレス昭和異人伝」の記事を拝読して、応援するとは如何なることを指すのか考えさせられました。応援しているとき、同時に応援されている。その分量を比較することはナンセンスですが、敢えて言えば、shingol氏は受け取っ…

『生活保護3兆円の衝撃』

生活保護費の急激な増大が話題になるとき、大概の人はこう言います。「本当に困っている人のために使われるのは良い。しかし、働けるのに働こうとしない奴のために我々の払った税金が使われるのは腹立たしい」生活保護は貧困の罠。易きに流されるのが人間で…

『無縁社会』

企業の役割とは何でしょうか。まず、利益を上げて税金を納めることが挙げられます。それと同時に、雇用を創出することです。雇用を創出するということは、そこで働く社員が収入を得て、家庭を作り、社会生活を営むことを可能ならしめることです。社会を人間…

あるハードボイルド考

大沢在昌の『絆回廊 新宿鮫Ⅹ』は「一読、巻を措く能わず」の面白さで、ページを繰る手が止まらない“一気読み本”です。お金と読む時間を費やす価値があります。しかし、ハードボイルド小説としては失格です。世の小説がすべてハードボイルドの文法で書かれな…

言葉を弄ぶな

選挙で選ばれた政治家は、選挙で落選するまで、二十四時間三百六十五日、公人です。その期間中に「私的な言動」などあり得ません。野田佳彦が何かを言ったら、野田佳彦という人間がというよりも先に、それは内閣総理大臣及び民主党党首の発言なのです。その…

自浄作用

立花隆は、日本の新聞について、記事が無記名であること、オンブズマンがいないことを批判しました。誰が書いたのかわからない記事は、記者の顔を消し去り、責任の所在を曖昧にします。オンブズマンとは、紙面の一部に編集部の権限の及ばないスペースを与え…

硬派と報道

この国の報道について考えるとき、辺見庸と船戸与一の対談は貴重にして重要です。それらは、辺見庸の『屈せざる者たち』と、船戸与一の『諸士乱想』で読むことができます。それぞれ別の内容です。それぞれの内容について詳しく触れたいところですが、それは…

反射神経

私の家族が遭遇したこと。ある在来線でのこと。酔っ払った男性が車両から車両へふらふらと行きつ戻りつしていました。どうやらトイレを探している様子。そして、ようやく見つけたものの、そこには故障中の張り紙が。男性は再び別の車両へ。しばらくして戻っ…

a sense of moral outrage

佐々木俊尚の『「当事者」の時代』を読んで唯一不満に思ったのは、記者クラブの弊害について触れていないことでした。特殊な組織が情報を独占する。これも既得権益の一つです。それを自らに許す者が、他人を同じ言葉を使って批判する。ジョークにもなりませ…

オリンピック雑感2

「感動をありがとう」と言うのは容易い。「ありがとう」というのは感謝の言葉です。ならば、それ相応のもので返すのが礼儀でしょう。私は、アナタは、どのような感動を周囲の人たちに与えることができるでしょうか。言い方を変えてみましょう。私は、アナタ…

オリンピック雑感1

競泳女子200メートル平泳ぎで銀メダルに輝いた鈴木聡美選手は、ゴール直後、電光掲示板で自分の順位を確認した瞬間、「やったー」と声に出しました。もちろん、その声をマイクは拾っておらず、口の動きでわかったのですが。その場面に目を奪われました、心が…