コーポラティズム

堤未果の『政府は必ず嘘をつく』は、9.11同時多発テロ後のアメリカと、3.11東日本大震災及び福島第一原発事故後の日本を重ね合わせます。キーワードは“コーポラティズム”。政府と企業の癒着です。

世界のどこにも“村社会”はあるようで。

民主主義を標榜しながら、その精神に反するような歪な構造が成り立つのでしょうか。成り立ちます。そこにメディア(=マスコミ)が加わることによって。

当時は気付かなかったことが、十年経って見えてきたアメリカの人たちに取材した本書は、現在その真っ只中にいる日本人に警鐘を鳴らします。同じ轍は踏むなと。

読んでいて、もう何年も前に読んだ『戦争広告代理店』(高木徹著)を思い出しました。“真実”は作られるのです。

理解できない出来事は、金の流れを見れば本当の姿が見えてくるという指摘は貴重です。それに触れないニュースは怪しいということでもあります。

その一例として挙げられた、東京都の被災地の瓦礫処理に関する話には背筋が寒くなりました。

著者は、権力と企業、マスコミの癒着が可能になる理由の一つに、お上とマスコミが嘘を言うはずがないと、発表されたことを鵜呑みにする思考停止を挙げます。

立花隆は「人間は言葉によってのみ思考する」と言います。より良く考えるためには、より多くの(考えるための)材料が必要です。日々勉強です。