『「東京裁判」を読む』
数字と解釈の輪舞曲。タイトルは「言い訳」。
裁判は論理の世界です。「叙事の積み重ねが叙情を凌ぐ」(by船戸与一)なら、感情論など無意味です。負けたときこそ胸を張れ。それができないのは、自身の中に確固とした信念がないからです。
大の大人が、自分がやったことを「やらされた」と言って恥じない心理が、私には理解できません。
その覚悟の無さを象徴する言葉があります。
「夢想だもせざりし」
東條英機の供述書にて、開戦から戦況が悪化し降伏に至るまで、様々な場面で出てきます。福島第一原発事故における「想定外」とピタリと重なります。
文脈を断ち切って一部だけを取り上げては本質を見誤ります。そもそも、物事は多面的であるのが当然で、意味や価値は他者との関係性において生まれます。
肯定するにしろ否定するにしろ、どちらかでも極端に振れることは思考停止と同義です。その罠に陥らないためにも勉強が必要であると痛感しました。
- 作者: 半藤 一利,保阪 正康,井上 亮
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/08/02
- メディア: 文庫
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (3件) を見る