箴言
<箴言>とは、「いましめとなる短い句。教訓の意味をもった短い言葉。格言。」(大辞林)を云います。
私は箴言集の類の本は手に取りません。「楽して良いとこ取り」という気持ちもありますが、何より、その言葉が発せられる文脈を知らずに理解などできはしないと考えるからです。
例外は、ラ・ロシュフコーの『運と気まぐれに支配される人たち』(角川文庫)ですが、これはこれで一つの作品ですので意味合いが違います。
佐藤愛子の『ああ面白かったと言って死にたい』は、まさしく例外中の例外。本屋で見かけた瞬間、迷わず手に取っていました。
伏線はありました。文藝春秋の増刊号です。
http://d.hatena.ne.jp/ocelot2009/20120429/1335682973
その言葉に頷いた作家の一人が佐藤愛子でした。
その波乱万丈な人生は「第三の新人」の作家のエッセイ等で知っていましたが、その著書を読むまでには至っていませんでした。今回も、その多くの小説やエッセイに手を伸ばすことなく過ごしていました。
直感は無意識の発露。自らに課したルールに反しますが、ここは流れに身を任せました。
読んで良かったというのが一番の感想です。ウケを狙って気取ることをせず、箴言といっても、言葉のレトリックで着飾ってもいません。身体から出た言葉という感じです。
僭越ながら、私が当ブログで書いてきたことと重なる部分もあり、とても嬉しくなりました。
嬉しいといえば、あとがきの最後、「『ためになりました』という読後感は期待していないけれども、『ふーん、こういう考え方もあるのネ』くらいの関心を持っていただけたら、嬉しいです。」と書いています。この“嬉しいです”が何とも可愛らしい。
チャーミングなおばあちゃんです。
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