2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

二つの『野獣死すべし』

大藪春彦と松田優作。二つの劇薬が出会って、強烈な科学反応が起きるのは当たり前。「良い映画になったね」「先生、ありがとうございます」なんて会話、聞きたくもない。きっと彼らは、職業:大藪春彦、職業:松田優作。たとえ虚勢を張ってでも、「職業:オ…

モンキー・パンチのルパン三世

原作者のモンキー・パンチ自身が監督した映画『DEAD OR ALIVE』で、財宝が眠る漂流島が如何に難攻不落かを次元と五右衛門に説明した後の、「どうだ、挑戦してみる価値はあんだろうが」と言うルパンの嬉しそうな顔。現時点での漫画作品の最終話。銭形警部の罠…

『新・雨月』を読んでいる

何年前だったでしょうか。福島県知事と山口県知事が“歴史的な”会談をしたという新聞記事を見ました。ともに交流の必要性を認識しながらも、まだまだ双方にわだかまりがあり、事はそうすんなりとは運ばない、という内容でした。現在は過去の積み重ねの上に成…

終わりの始まり

「初防衛戦は甘くなかった。(中略)23戦目の初黒星。亀田は赤く腫れた血まみれの顔で、リング上から、四方の客席に向けて頭を下げた。本人が、完敗を悪びれずに受け止めていたのは、この試合の救いだ。ところが、試合後の亀田側控え室―。『採点がおかしいや…

「ハゲタカ(ハゲワシ)と少女」

http://flatrock.org.nz/topics/odds_and_oddities/ultimate_in_unfair.htm私は、この写真以上に衝撃を受けた写真を見たことがありません。撮影したケビン・カーターへの批判も、写真の内容と、写っていない周囲の様子も含めた現場の状況との差も、報道とは…

『新・雨月』追記

船戸与一のインタビュー記事http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20100309bk05.htm

船戸与一『新・雨月』(下巻)

戊辰戦争を、近代国家成立のための生みの苦しみと位置付けるのは容易いことです。歴史の一エピソードとして語ることも可能です。黒澤明の「用心棒」で、カメラマンの宮川一夫は地面に近い低い位置から撮影することで、臨場感に溢れた迫力満点の映像を作り上…

エール

曲のタイトルは「若者たち」ですが、何かに挑戦するすべての人に向けての曲だと思います。「この歳でいまさら……」なんて言っている人に用はありません。「朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり」(論語)です。

喧嘩相手

国家と企業がつばぜり合いをしながらも共生を模索する。お互いに相手がいなくては、自身が存在できない。そして、国と企業のどちらに属しているかと訊かれれば、最終的には国。それが今までの常識でした。中国(共産党)とGoogle。国家と企業の喧嘩。勝ち負…

逆説的に

このCMに登場する人たちは、“何を言ったか”ではなく、“何をしたか”で、多くの人々に影響を与えています。だからこそ、私は言葉を大切にしたい。

戦士たちよ

船戸与一の最新刊、戊辰戦争を描いた『新・雨月』の上巻を読み終えました。歴史は、為政者や有名な武将たちの言動を追うことで語られます。しかし、この作品で視点を受け持つ、つまりストーリーを語るのは、歴史においては名も無き男たち、長州軍の間諜、元…

傍観者

ジャーナリストで作家の辺見庸は、その日、地下鉄サリン事件の現場にいて、当事者として事件に遭遇しました。彼が見たのは、大勢の人々がバタバタと倒れたり蹲ったりした姿でしたが、もう一つ、見たものがあります。それは、倒れた人々を跨いで職場に急ぐ通…

ずれ

ずれているのは彼らか、それとも世界か?必要なのは、他者への想像力。だって、美味しいケーキ。皆で分けっこして食べたら、もっと美味しくなるでしょ?

胡散臭さ

一般論として、プロレスラーはアスリートとして認知されることはありません。それでもプロレスファンは、数少ないながらも、試合の中で鞘から抜き出された真剣が一瞬の光芒を描いてまた鞘に収まる姿を見ることがありました。リアルとフィクションの曖昧さの…

続:リッカルド・ムーティ

そのリッカルド・ムーティが日本にやって来ます。しかも、演奏されるのは……。『カルミナ・ブラーナ』後にも先にも、一生に一度。血が沸騰するようなドキドキわくわく感。http://www.tokyo-harusai.com/

リッカルド・ムーティ

彼が指揮するオーケストラに初めて生で触れた時、本物は、聴く者が素人であるなどというハードルを軽々と越えるのだと思い知らされました。日光東照宮の陽明門は、一箇所だけ、逆柱という不完全な並びの場所を作ってあります。それは「完全なものは滅びるだ…

地べた

私見ですが。大藪春彦は、日本を舞台にした作品の方が、海外を舞台にした作品よりも凄まじい読み応えがあります。船戸与一は、海外を舞台にした作品の方が、日本を舞台にした作品よりも訴えかける読み応えがあります。これは、国家が市民を裏切る様子を目の…

属さなくてはいけないの?

少し前なら“草食系男子”。最近では“歴女”やら“ママ鉄”やら。そんなに、自分が何者なのか、他人に定義してもらわなければ不安なの?他人が用意した尺度(言葉)で自分を位置付けることで、社会と繋がっている安心感を持てるのでしょうか。社会というマトリク…

見苦しい独白3

そんなふうに僕を思い出してくれるのは本当に、心の底から嬉しい。でも……。きみのパートナーは、きみの隣にいる。それは僕ではない。純度百パーセント、混じり気無しに寂しい。純度百パーセント、混じり気無しに嬉しい。それは、“しかし”や“けれど”で結ぶこ…

何だかなあ

民主党の一連の下手くそなやり方と迷走を見て。東京都の「非実在青少年云々」の条例に関するやり取りを見て。いみじくも、同じ言葉を思い出しました。“貧すれば鈍す”人間、暇だと碌なことを考えないという見本のようなもの。少し忙しいくらいで丁度良いのか…

シャアの苛立ち

「連邦軍は、コロニーが地球と地続きでないと、いつになったら理解できるんだ」(機動戦士Ζガンダム)政治家は、消費の落ち込みが政治を信頼できない者の自己防衛だと、いつになったら理解できるんだ。

違う

感謝してほしいんじゃない。喜んでほしいんだ。

刺激と慣れ

物事を能動的に“視る”ことのない人にとって、刺激とは外から与えられるものに過ぎません。そして、人間は善きにつけ悪しきにつけ“慣れる”ものです。“眺める”ことしかできない人には、刺激は、よりエスカレートすることでしか刺激足り得ません。プロレスが衰…

私の好きな作家:逢坂剛

逢坂剛の作品で初めて読んだのは『百舌の叫ぶ夜』(集英社文庫)でした。きっかけは、船戸与一が解説を書いていることでした。活字で描かれた物語を読む快感。お風呂やトイレ、食事の時間すら惜しいという読書を、その時初めて体験しました。それまでも、(…

卒業式

卒業式といって私が思い出すのは、小学校のものです。無事に式を終え、教室で挨拶をし、さあ帰ろうと校庭に出て校舎を振り返った時、その感想は突然やってきました。私と、私を含む同学年の児童全員は、この学校にとって何ら特別な存在ではないのだと。これ…

伝説の継承者

そのジャーマン・スープレックスを引っさげて、タイガーマスクが登場しました。その技のスピード、力強さ、美しさは群を抜いており、観客は(少なくとも私は)見惚れました。そこに、ジャーマン・スープレックスの第四の真の使い手が現れました。タイガーマ…

伝説≠ネタ

かつて、プロレスにおいて……。その難易度の高さから、ジャーマン・スープレックスを完璧に使える(極められる)のはカール・ゴッチ、ヒロ・マツダ、アントニオ猪木の三人だけと云われていました。カール・ゴッチは既に引退した伝説のプロレスラー。ヒロ・マ…

『涼宮ハルヒの消失』(加筆訂正)

『涼宮ハルヒの憂鬱』とそのシリーズを読んだのは、読売新聞で「萌えイラストの表紙に怯まずに手に取ってほしい傑作」との評を目にしたのがきっかけでした。そして、持病の「無性に青春ものが読みたくなる発作」が起き、まとめ買いをしました。“ライトノベル…

ircle連想

七年前、埴谷雄高の『死霊』を、文庫化を機に読みました。著者は「私は難しいものを書いているつもりはない」と書いていますが、とにかく難解な内容で、説明してみろと言われても、できませんと頭を下げるしかありません。筋肉を鍛えるために筋組織に強い負…

プロ論

誰が言った言葉だったでしょうか。「小説家になりたくて小説を書いても、小説家にはなれない。これを書かずにはいられないという内面からの強い思いの現れとして小説を書く人が、小説家になる」生まれて初めて、ライブハウスなるものに足を運びました。お目…