傍観者

ジャーナリストで作家の辺見庸は、その日、地下鉄サリン事件の現場にいて、当事者として事件に遭遇しました。

彼が見たのは、大勢の人々がバタバタと倒れたり蹲ったりした姿でしたが、もう一つ、見たものがあります。それは、倒れた人々を跨いで職場に急ぐ通勤途中の会社員たちです。

さらに、倒れた人を介抱する辺見庸に向かって、自分は何もせず、一定の離れた距離から「あなた、具合の悪い人に咥え煙草で失礼でしょう」と難詰した“婆あ”でした。

このPVで、須藤元気たちの前、カメラの前を何事も起きていないかのように横切っていく人たちを見て、この話を思い出しました。

もう一度、問います。ずれているのは彼らか、それとも世界か?