2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『リプレイ』

ケン・グリムウッドの『リプレイ』の名前は知っていましたし、傑作との評も承知していましたが、ずっと読まずにいたのは巡り合わせとしか言いようがありません。あるいは、わたしの読む準備がようやく整ったのが“いま”だったのかもしれません。誰もが、もう…

『償いの雪が降る』

年末恒例のランキングとは無縁の読書生活を送っていますが、それらを否定してはいません。思うところがあり、アレン・エスケンスの『償いの雪が降る』を読みました。まず感じたのは、著者の若さです。余計なことは書いちゃいられない、最終地点に向かってま…

藤沢周平を二作品

久しぶりに時代小説を読みたいと思い、藤沢周平の作品を手に取りました。一冊は『霧の果て 神谷玄次郎捕物控』です。連作短編集で、この手の作品は扱われる事件、その当事者たちの物語が描かれ、視点を受け持つ語り手の主人公は観察者あるいは傍観者ですが、…

『本陣殺人事件』

横溝正史の『本陣殺人事件』を読みました。作家の意欲が行間から溢れ出している作品です。後発の映画化もされた傑作群と比べると、いわゆる“けれん”が少なく感じますが、ここから積み上げていったと考えれば、それも瑕疵ではなく、シリーズ第一作にして既に“…