伝説≠ネタ
かつて、プロレスにおいて……。
その難易度の高さから、ジャーマン・スープレックスを完璧に使える(極められる)のはカール・ゴッチ、ヒロ・マツダ、アントニオ猪木の三人だけと云われていました。
カール・ゴッチは既に引退した伝説のプロレスラー。ヒロ・マツダは海外を主戦場にしているレスラーで、テレビでその姿を見ることがない選手。ということで、結果的にアントニオ猪木だけがジャーマン・スープレックスの真の使い手ということでした。
これは私の解釈ですが、他の選手がジャーマン・スープレックスを使って勝利しても、それは決して完璧に使いこなしているのではない。あくまでも不完全ながら、それでも勝ててしまうのは、技の持つ破壊力の結果なのだと。
猪木は、滅多にという言葉ですら足りないくらい、ジャーマン・スープレックスを出しませんでした。極め技は延髄斬りがほとんどで、卍固めすらここ大一番でしか見せませんでした。その結果、卍固めは、その試合の重要さを観客にアピールする効果を、言い換えれば、観客への説得力をすら持ちました。
その卍固めの先にあるジャーマン・スープレックス。幻の必殺技は、幻だからこそ猪木の最強幻想を補完しました。言うなれば、忍ぶ恋。