正しいだけでは足りない

魑魅魍魎が跋扈する、面子と実利が複雑に絡み合う政治の世界で、錦の御旗=自分の正しさを振りかざして猪突猛進しても、自己満足しか生みません。それも、「結果は良くなかったが、自分は正しいことをした」というだけの。

中国の盲目の人権活動家、陳光誠氏の亡命問題を報じる新聞記事でも、アメリカと中国が面子と実利の両面で調整を行ったことがはっきりと指摘されているように、それは至極当然のことであって、何らやましいことではありません。

喉もと過ぎれば熱さ忘れる。大衆は一時的に熱くなっても、それが自分に直接の災いをもたらすものでなければ、すぐに過去のことにしてしまいます。去る者は日々に疎し。お互いにそれがわかっているから、亡命ではなく「アメリカ留学」なのでしょう。

石原都知事が提案した、尖閣諸島の購入問題。

領土的妥協は、ダムに開いた蟻の一穴。国の崩壊に結びつきます。毅然とした態度が求められます。そして、逆説的ながら、その姿勢は相手にも信頼感を与えます。人前では言えない本音もあるでしょう。それを吐露しあえる信頼関係が築けて、初めて外交ができるのだと思います。

石原都知事の言動が、今後の日本と中国にとって吉と出るか凶と出るか。それは、発言それ自体の正否ではなく、双方のこれからの努力にかかっています。