映画

『七人の侍』③

「今回も負け戦だったな。勝ったのは百姓たちだ」とは、物語の最後、勘兵衛の締めの台詞です。それは麗らかな日差しの下、田植えの場面です。賑やかなお囃子、新たな季節への喜びに満ちた笑顔。それを離れた場所から眺める勘兵衛たちの横を、苗を担いだ女た…

『七人の侍』②

今回『七人の侍』を観て感心したのが、死の描き方です。野武士との戦いにおいて、七人の侍から戦死者が出ます。それらは敵との一騎打ちの末に壮絶に倒れるというものではありません。種子島(鉄砲)によるものです。それは一瞬の出来事。銃声が轟き、倒れる…

『七人の侍』①

「午前十時の映画祭」にて、黒澤明の『七人の侍』を観ました。映画館で鑑賞するのは、1991年のリバイバル上映以来、二回目です。物語の内容を承知して、展開の繋がりを意識しながら観ることが出来、その脚本の見事さ、言い換えるなら、無駄な登場人物が一人…

『椿三十郎』

黒澤明の『椿三十郎』を映画館で観る機会を逃してはいけないと、午前十時の映画祭に足を運びました。三船敏郎の豪快な殺陣と、「良い刀は鞘に入っているもの」に代表される、のんびりおっとりした城代家老の奥方とのやり取りのコントラストが鮮やかな、とに…

『用心棒』

「午前十時の映画祭」にて、黒澤明の『用心棒』を観ました。かつてビデオで、あるいはLDで何度も観た作品ですが、こうして映画館で観るのは初めてです。殺伐としてリアルな世界観、描写、殺陣。それと対を為す、戯画的に描かれる登場人物たち。しかし、今回…

『太陽がいっぱい』

午前十時の映画祭にて、『太陽がいっぱい』を観ました。若さゆえの刹那、酷薄、憂い。そして、しなやかな強さ。男を見て「美しい」と感じたのは初めてです。青い空、透明な海と白いヨット。美しい街並み。そして、タイトルにもなた太陽。そのすべてがアラン…

問う映画

2017年11月22日。平成29年の誕生日に『ブレードランナー2049』を観ました。これは意識してのことです。埴谷雄高の『死霊』の「自分とは何かではなく、何を以て自分とするのかと問うべき」を経て、もう一度返って「自分とは何か」を問うてみるのも一興。そん…

人生の後悔

映画『シン・ゴジラ』を観ました。「嗚呼、これは実写版『エヴァンゲリオン』だなあ」と思いつつ、一本の映画として満腹、満足な作品でした。ただ、一つだけ残念なことがあります。それは作品ではなく自分についてです。初代ゴジラからシリーズを(ビデオやD…

わくわく

「深宇宙からの「強い信号」検知 地球外文明発見の期待高まる」http://www.afpbb.com/articles/-/3099026このニュースを知って、わくわくせずにいられようか。

『杉原千畝』

映画『杉原千畝』を観ました。まず何よりも、船戸与一の“満州国演義”シリーズを読んでいることが財産になっていることを語りたい。物語は満州国から始まります。スクリーンに映し出されるその街並みを見て、それだけで胸がいっぱいになりました。船戸与一が…

泣き虫の殺し屋

『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』でドイツについて論じるエマニュエル・トッドはフランス人です。そして、フランス映画といって思い出すのが、これ。

変わる

映画『ロッキー4』の話。東西冷戦の真っ只中、敵地ロシアに乗り込んだロッキーは、敵愾心むき出しの観衆に囲まれて四面楚歌のなか、強敵ドラゴと闘います。しかし、ラウンドを重ねるにつれ、機械のように冷徹だったドラゴは闘う者の激情を表していき、いつの…

積み重ねること

タイムリープを題材にした映画『All You Need Is Kill』は、努力を積み重ねることの尊さを示しています。企業の株主至上主義が短期的な目先の利益の確保を要求するように、いまの世の中では短兵急に結果が求められます。しかし、それらしく理屈を並べた、形…

良い夢を

良く眠れ、悪い夢を。

真実

真実はどこかにあるのでしょうか。

正義

正義に優劣はあるのでしょうか。

尊厳

人が人ではないもの、“人でなし”にならなければ生き残れないなら……。

会議

ドラマ『七つの会議』では、物語の折々に会議の場面が挿入されます。上は親会社の社長をはじめとする重役が居並んだ“御前会議”から、下は屋上にパイプ椅子を並べた“俺たちだけの会議”まで。不良品の回収のための部署だけを残して、会社は解体されました。そ…

正義の行方

NHKのドラマ『七つの会議』を視ています。毎週、決まった時間にテレビの前に座るのは、ドラマ『のだめカンタービレ』以来のこと。役者とは何か、演じるとは如何なることか。その迫力に圧倒されながら、固唾を飲んで見入っています。組織の中で生きる者の息苦…

映像で語るということ

良い映画には、「映画を観るより原作の小説を読んだ方が何倍も面白い」という言葉は当て嵌まりません。作家という点では、小説家も映画監督も同じです。その一例。ベタですが。

そこに何を見るか

脚本の瑕疵を含め、完成度という点で、『ダークナイト ライジング』は、前作『ダークナイト』に劣ります。しかし、それを指摘して批判することは、その人の心の貧困を露にします。『ダークナイト』は、その圧倒的な完成度で観る者を圧倒しました。魂が震える…

日はまた昇るか

『ダークナイト ライジング』のバットマンは、無敵のヒーローではありません。しかし、人の持つ勇気というものを示してくれます。人間は、苦境に陥ったときにこそ、その真価が問われます。立ち上がること。何度でも立ち上がること。挫折の数だけ立ち上がるこ…

『上流社会』

ビング・クロスビーとフランク・シナトラ。画面にいるのは二人だけ。これこそ、男の真剣勝負でしょう。

恐怖と美しさの源

恐怖にも色々ありますが、その大きな要素の一つは“理解不能であること”です。映画『羊たちの沈黙』で、ジョディ・フォスター演じるクラリス・スターリングの美しさを引き出したのは、レクター博士です。そのレクター博士はサイコパス、狂気の人です。謎は、…

オンナのセリフ②

映画『麻雀放浪記』は、戦後の無頼の時代を描いています。恋人のドサ健の博打のかたに、親が遺してくれた家を奪われた若い女性。演じるのは大竹しのぶ。それでも自分から離れない女性に、ドサ健が訊きます。「何故、自分と別れないのか」と。その女性は、笑…

30秒フラット

映画『ヒート』で、ロバート・デ・ニーロ演じる強盗団のリーダーは、アル・パチーノ演じる刑事に言います。「あるヤツがこう言った。30秒フラットで高飛びできるよう、面倒な関わりを持つな。そういう男を捕まえようってヤツが結婚するのが間違ってる」また…

『WALL・E』

CGで描かれたロボットの愛らしさ。観ている間、ずっとニコニコ。

『いまを生きる』

この映画を観て、自分の心を縛るのは、他の誰でもない、自分自身だと知ります。他人のせいにするのは楽です。しかし、知ってしまったのなら、もう他人は関係ありません。世界と対峙するのは、自分の心だけです。

『フェイス/オフ』

大藪春彦曰く、「作家は、読者が、作者名を隠した状態で読んでもそうとわかるくらい、確立された文体を持たなければいけない」。(あいかわらずの、うろ覚えです)ジョン・ウーの様式美に酔う。

『セント・オブ・ウーマン』

アナタのために、心から怒ってくれる人がいますか? アナタの心の尊さのために憤ってくれる人がいますか?凍りついた心を溶かすのも、また心です。