30秒フラット

映画『ヒート』で、ロバート・デ・ニーロ演じる強盗団のリーダーは、アル・パチーノ演じる刑事に言います。

「あるヤツがこう言った。30秒フラットで高飛びできるよう、面倒な関わりを持つな。そういう男を捕まえようってヤツが結婚するのが間違ってる」

また、彼の隠れ家には家具が一切ありません。それを部下に指摘されて言います。

「30秒フラットで逃げられることを第一義に考える人間に家具など要らない」(曖昧な記憶で書いており、違っているかもしれません)

物語の最後、すべてを捨て切れなかった男は刑事に撃たれ、死にます。「捕まりはしない」と宣言したとおりに。

私たちが「30秒フラットで逃げられるように余計な者と物を持たない」でいることはできません。心にも体にも贅肉がたっぷりとついています。しかし、真に強い者は、何も持たないのではなく、持って猶、逃げることも含めて行動できる者ではないでしょうか。

多くのことを抱えながら、何も持たない(はずの)強盗を倒した刑事は、それを示してくれているように思えます。