そこに何を見るか

脚本の瑕疵を含め、完成度という点で、『ダークナイト ライジング』は、前作『ダークナイト』に劣ります。しかし、それを指摘して批判することは、その人の心の貧困を露にします。

ダークナイト』は、その圧倒的な完成度で観る者を圧倒しました。魂が震えるような感動。

それを完結編の『ダークナイト ライジング』に繋げるのは、製作者とともに観客の役目です。

そこに何を見るか。作品の持つポテンシャルは観る者を試します。

ただ一点、批判したいことがあります。それは核兵器の扱い方です。

作品の中で、現実の世界より進んだ技術によるものとはいえ、原子力発電を「クリーンな未来のエネルギー」とするのには違和感があります。

また、最後に海で爆発させることで、「街で爆発させずに済んだ。ゴッサムシティを守った」とされますが、核兵器とはそのようなものではないでしょう。

アメリカでは、核兵器は、とても威力のある特別な爆弾程度にしか認識されていない」ということを何かで読んだことがあります。もしそうなら、作品の良さを損ねるものではありませんが、とても残念です。