『国体論』

今上天皇が現在の日本国憲法を肯定し、その枠組みの中で象徴天皇としての役目を模索し実践してきたことに誇りを抱いているのですから、それを書き換えようとする者こそ“反日分子”と呼ばれるべきでしょう。

それが、いつの間にか、国家権力機構に対して反対意見を表明する者が“反日”と評されるようになってしまいました。

その思考回路を理解出来ずにいましたが、白井聡の『国体論』を読んで腑に落ちました。副題が「菊と星条旗」、これが答えです。

その時々の権力者におもねり、その側に身を置けば自分の正しさが保証されるという意志薄弱

国体という言葉は、先の戦争の記憶とともに忌み嫌われ、良識のある人なら決して口にすることはありませんでした。

それが話題や議題の俎上に上がるようになったのは、あの悲惨な戦争を直接に経験している世代の人々が年齢的に鬼籍に入っていき、それが記憶ではなく記録になりつつあるからだと、わたしは思います。

国体論 菊と星条旗 (集英社新書)

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