責任の取り方

かつて、テレビの刑事ドラマは若者の成長物語でした。

彼らは未熟さゆえに失敗し、壁にぶつかり、事態を混乱させてしまいます。そして、自信を失い、警察手帳と手錠、拳銃を上司に差し出します。「責任を取って辞めます」と言って。

上司は、「そうやって、すべてを放り出して逃げ出すのか。オマエがすべきことは、この事態を収拾させ、事件を解決することだ。それが本当に責任を取るということではないのか」と言って、突っぱねます。

奮起した若者は見事に事件を解決します。そして、辞表を出したことを悔やみます。上司は、彼の目の前で辞表を破り捨てて一件落着。物語はハッピーエンドを迎えます。

この一連の流れが成立するのはフィクションの世界だからです。

現在の地位に留まり職責を果たすのが自分の責任の取り方。

他人が庇うならまだしも、これを当人が自分で言うのはまずい。

これが現実の世界で罷り通ったら、前例主義の中で負の連鎖が生まれ、組織は崩壊します。