戦後の終わり

著者が別の著書で定義した“永続敗戦レジーム”をキーワードとして“戦後の終わり”としての現在の政治状況を論じた本です。

わたしが普段考えたり、このブログに書いたりしていることと重なる部分も多く、すんなり腑に落ちる論でした。

感情で話す人を理を以て説き伏せるのは困難です。だって、自分が話していることを自分で理解していないのですから。

そういう人にとって、他人の反応は肯定と否定の二つしかありません。肯定されれば自尊心を満たされ、否定されれば馬鹿にされたと憤るだけ。

理を以て論じることの難しさが、そこにはあります。他人に理解されない正論に意味はあるのか。

それでも、立花隆が言うように、知りたいという欲求と、それを知る喜びは人間にとって根源的なものだと思います。

“(民に)知らしめず”は統治の要諦です。しかし、そうは問屋が卸しません。

偶然に見えて必然。人のやることには理由があります。出来事は起こるべくして起きます。予想外のアクシデントに見えても、それもパズルのピースとして全体図のなかに収まります。

その難解な図面の説明書として、自分なりに考える際の一助になる本です。

「戦後」の墓碑銘

「戦後」の墓碑銘