2010-01-01から1年間の記事一覧

実際にやるということ

荒俣宏の『帝都物語』は、東京壊滅を目論む魔人、加藤保憲の暗躍を描いた作品です。その物語に、三島由紀夫が登場します。作中の三島由紀夫は、「祖国防衛隊」という私兵を要した組織を作り、加藤保憲と対峙します。加藤はその時代時代で立場を変え、その時…

期待と気持ち

今日、通っているボクシングジムで、中学生と挨拶がてらに少し話をしました。中学生「K-1は好きですか?」私「K-1、良いよね」中学生「ボク、マイティ・モーのファンなんです」私「格闘技界全体のためにも、やっぱりK-1が盛り上がらないとね。テレビ中継もし…

立ち止まる

この曲のイメージは、枯葉舞う晩秋です。それなのに、この時期に記事にする堪え性の無さ。お恥ずかしい。この曲のタイトルには、「ちょっと五分くらい休もう」という意味が込められていると、何かで読んだ記憶があります。曲の長さも約五分です。正解を求め…

テレビCM

まだ『これからの「正義」の話をしよう』を引きずりますが、哲学を含むあらゆる学問は、実社会にフィードバックされて、初めて価値があります。同様に、どんな素晴らしい料理を作っても、食べてくれる人がいなくては、そこに価値はありません。格闘技もまた…

アプローチショット

『これからの「正義」の話をしよう』の著者、ハーバード大学教授のマイケル・サンデル氏は、今回の日本滞在の中で、何か新しい刺激を得たのでしょうか? 儒教や老荘思想、仏教。その中でも特に“禅”に触れる機会があったなら、氏の論の幅が広がるのではないか…

『これからの「正義」の話をしよう』

<目次>「第1章:正しいことをする」幸福、自由、美徳/パープルハート勲章にふさわしい戦傷とは?/企業救済への怒り/正義への三つのアプローチ/暴走する路面電車/アフガニスタンのヤギ飼い/道徳のジレンマ「第2章:最大幸福原理―功利主義」ジェレミー・ベン…

虚無と浪漫

芥川龍之介は、“唯ぼんやりした不安”という言葉を遺して、自ら命を絶ちました。生来の厭世観に加えて、健康の悪化があっての結果と云われています。「絶望から人はむやみと死ぬものではない」と、やはり自ら命を絶った三島由紀夫は書いています。これは青年…

一瞬の浮遊感

MMAのリングで闘いながら、宮田和幸には、格闘家ではなくアスリートの佇まいがあります。それが、私という“見る者”の自己投影を拒みます。私にとって、ジャーマンスープレックスはプロレス技であり、それを宮田が繰り出しても、メカニカルな完成度に感心はし…

せざるを得ない拡大

以前、主に経済を扱ったテレビのニュース番組で、ある安売りチェーン店について特集していました。そのコンセプトは、業績を伸ばして躍進する企業の「安売りの秘密に迫る」といったものでした。しかし、そのプログラムの中心に据えられたインタビューでの社…

人間橋

柴田勝頼の、ミノワマン戦のジャーマンスープレックスには胸躍りましたが、DREAM.16の宮田和幸のそれには、腕のロックを外さずに二回連発するという離れ業ながら、驚いただけでした。何故? と問うのは野暮。答えはわかっています。

今日と明日

「今日の都合で魂を売った人々の決定などは、明日にも崩れるものさ」 (『機動戦士Ζガンダム』より、シャア・アズナブルの台詞)

月影

まずは、月の光を月影と表現する古の人の感性に脱帽です。先日、ボクシングジムからの帰途。運転する車のフロントガラスの向こうに、十五夜を過ぎたばかりの月が見えました。そして、白々とした光に照らされて夜空に浮かぶ、これも白い雲。その冷たい静謐に…

美濃輪育久

石井慧との試合において、ミノワマンの戦い振りは、自ら動いて主導権を握ろうとせず、相手の一瞬の隙を狙うものに止まりました。試合の数日前に突然決まったカードでした。ミノワマンは、戦う相手について研究する余地を与えられることなく、試合に臨むこと…

カテゴリー

本日、当ブログのすべての記事をカテゴリー分けしました。記事を読み返して、その冗長さに汗顔の至り。書いてはいますが、何も語り得ていないという事実。今回のカテゴリー分けで、どのカテゴリーに入れたら良いのか迷う記事が多数ありました。複数のカテゴ…

石井慧雑感

プロに対して、勝ちに徹したとは、決して褒め言葉ではありません。それは“臆病者”と同義です。堅実な試合運びを指して、石井が“大人になった”“成長した”とは言いますまい。五輪後の一連の言動と、格闘家への転身。そして、吉田秀彦戦での無様な姿。たった一…

拍手をする役

年に数回、コンサートやリサイタルに足を運びます。といっても、専門的な知識も無ければ、細かな技術を見極める目もありません。半分、席埋めの付き合いです。それでも、一曲終わった時、掌が痛くなるくらい大きな拍手をします。何故か。それが、観客として…

ダブる二人

UFCの公開計量の場で、向かい合ってファイティングポーズをとる二人の選手の間に立って、「この魅力的なカードを最も楽しみにしているのはオレだ」と言わんばかりの表情のデイナ(ダナ)・ホワイト。K-1初期の、ファンが驚くほどの好カードを連発していた頃…

ジャイアンとのび太

日本の為政者及び官僚が相手にすべきは中国共産党の幹部であって、中国の一般市民ではありません。その民衆をコントロールすべく必死になっているのが中国共産党の幹部たちです。私は、彼らのなりふり構わない態度、いえ、なりふり構わざるを得ない態度に、…

帝国主義

“帝国主義”とは、「広義には、国家が領土や勢力範囲拡大を目指し他民族や他国家を侵略・抑圧する活動・政策。狭義には、資本主義が高度に発達し生産の集積と独占体がつくり出され、資本輸出が盛んになった段階。十九世紀末からこの段階に達した列強は植民地…

中国のジレンマを想像する

尖閣諸島の問題で、事態の沈静化を最も望んでいるのは誰でしょうか。最も必死になっているのは誰でしょうか。それは、中国共産党幹部です。欲望を満たす甘美な味を覚えた億単位の大衆をコントロールする綱渡りを演じている彼らこそ、この事態を何とかしたい…

『ラスト・チャイルド』

ひろさちや、という仏教学者曰く、「わたしたちがこの世に生きているのは、仏が書かれたシナリオの中で、それぞれがいろんな配役をもらって、その役を演じているのです。それが人生です。仏が書かれた(何億年にもわたる)膨大なシナリオですから、役の意味…

DREAM.16

微力と言うのもおこがましいですが、千里の道も一歩から。どこでどう繋がるかわからない意外性が、ネットの魅力の一つでもあります。こんなものがあるんですよ、ということで。

ミノワマンvs石井慧

TBSには前例があります。ドラマ『ROOKIES』が映画化された際、「公共の電波を私物化している」と批判されるほど、その宣伝に局を挙げて力を入れていました。とにかく一日中、「ミノワマンvs石井慧」の対戦カードを宣伝すべきです。しろ。サプライズ発表とい…

アナーキズム?

私は、生まれてこの方、この国の法律に従うと、誰に対しても、いかなる権力組織に対しても、約束したこともなければ、誓ったこともありません。私と(国家)権力の間には、何ら契約めいたものはありません。それでも、法律と呼ばれる約束事を破ったら罰する…

無謬性

“検察の無謬性”という言葉があります。それは、貨幣経済と同じ性質のものです。お金がお金であるのは、そこに(発行元である国への)信頼があるからです。その信頼が価値を生みます。検察への信頼もまた、法治国家の価値に結びつきます。大阪地検特捜部の主…

鎮魂歌

激闘の果て、ニュータイプへの希望もなく、疲労困憊した精神は自閉し、何も生み出さなかったグリプス戦役。「markⅡ、おまえもアーガマに帰りたいのね」

自分が答えになるしかない

私が初めてネット上に意見めいたことを書いたのは、ある掲示板の、読書に関するトピックでした。現在も、読んだ本の感想はそちらに書いています。三年前。ある個人的な感傷から、その投稿を一年ほど休みました。その中で、ある方から、厳しくも嬉しい言葉を…

異邦人

身に染みた常識が、常識ではない世界。見知らぬ価値観が支配する世界。マジョリティではなく、マイノリティ。異邦人。その立場に、二十歳そこそこで身を置いた彼女の胸に去来したものは、何か。カミュの『異邦人』で、主人公のムルソーは、犯した殺人の動機…

もっと強く

プロボクサー、WBA世界スーパーフェザー級チャンピオンの内山高志を扱ったドキュメンタリー番組を見ました。苦しい練習にも、「これで少しでも強くなれるならあり難い」と嬉しそうに浮かべる笑顔。ジムにチケットを申し込んでくれた人たちに、自ら自筆で礼状…

四季

アントニオ猪木を特集したある雑誌に、前田日明のインタビューが掲載されています。それを読んで、一言物申したくなりました。「自分はアントニオ猪木を批判してはいない。猪木の耳に痛いことを言っているだけ。それは、昔と今で、言っていることもやってい…