中国のジレンマを想像する

尖閣諸島の問題で、事態の沈静化を最も望んでいるのは誰でしょうか。最も必死になっているのは誰でしょうか。

それは、中国共産党幹部です。

欲望を満たす甘美な味を覚えた億単位の大衆をコントロールする綱渡りを演じている彼らこそ、この事態を何とかしたいと考えているはずです。その大衆は、知ることを知ってしまったのですから。自国と他の国々とを比較することを知ってしまったのですから。もう「知らしめず」とはいかないのですから。

中国の経済発展は、日本の高度経済成長と違って、グローバル経済の名の下で外国資本と密接に結びついています。外資は雇用を生み、それは中国人社員の収入と消費を保証するものです。外資があることを前提に経済のシステムが構築されているのです。

その骨絡みの中で、中国は、昔ながらの中華思想に基づいて単純によその国を否定することはできないのです。自縄自縛。今回は過去に経緯がある日本が相手ということでこじれていますが、中国の高官の人たちも、さじ加減がわからずにいるのではないでしょうか。

諸外国も、事態の推移を注視しているはずです。世界中での経済活動が報じられている中国との、経済活動を舞台とした衝突は、いつあってもおかしくないのですから。その国内に限らず、世界中で。

“遠山の金さん”のお白洲ではありません。双方の面子を立てつつ言い訳ができる落とし所を協力して模索すべきです。