ジャイアンとのび太

日本の為政者及び官僚が相手にすべきは中国共産党の幹部であって、中国の一般市民ではありません。その民衆をコントロールすべく必死になっているのが中国共産党の幹部たちです。私は、彼らのなりふり構わない態度、いえ、なりふり構わざるを得ない態度に、彼らの怯えを感じます。

にやにやと愛想笑いを浮かべ、相手の言うことに簡単に頷く人。自分の主張を繰返すばかりで、相手の言うことを聞こうとしない人。相手の意見に耳を傾けつつ、(利害の衝突があったとしても)はっきりと自分の考えを述べる人。信頼できるのは誰か。言わずもがなです。

やりようで、主導権を握ることも、双方の面子を立てて相手に貸しを作ることもできたのです。

中国共産党と中国は、世界にメッセージを発しました。今後、衝突の場で、中国は相手の立場を斟酌することはせず、ひたすらに自国の利益を追求すると。

歴史上、様々なバブルが生まれては、はじけました。日本もそれを経験しました。盛者必衰。中国もまた、何年後か、十何年後か、何十年後か。その災厄に見舞われることでしょう。

リーマンショック後、アメリカで、破綻したいくつもの大銀行や大手証券会社は「大き過ぎて潰せない」との判断から、その救済に公的資金(税金)が投入されて社会問題になりました。

中国のバブルがはじけた時、グローバル経済の繋がりの中、その混乱はリーマンショックの比ではないでしょう。「中国を救わなければ自分たちも危ない」と、他国は資金を投入するのでしょうか。否。それはあり得ません。

北朝鮮の現体制が維持されることを周辺の国々が望むのは、混乱が生じ、それが自国にまで波及することを恐れているからだと聞きます。中国で混乱が生じたら、それは北朝鮮の比ではないでしょう。経済的衝突の場で、他の国々は「中国が暴発しないように」と引き下がるでしょうか。否。それはあり得ません。

漫画『ドラえもん』のジャイアンの有名な台詞。「おれのものはおれのもの。おまえのものもおれのもの」。『ドラえもん』には、一度最終回がありました。ドラえもんが未来に帰ることになった時、のび太はこのジャイアンに立ち向かっていきました。「ぼくが強くならないと、ドラえもんは安心して未来に帰れないんだ」と。

今回の日本政府の態度、対応は、こののび太以下でした。これからを考えた時、授業料と言うにはあまりに高くつきました。早速、中国側から謝罪と賠償を求めてきているとの報道がありました。その賠償が授業料ではありません。授業料は既に払っています。

毅然とした態度が、信頼を生みます。相手を慮ることが、信頼を生みます。双方がその基本に立ち返ることを期待します。

それにしても、恐ろしきは金の魔力。「衣食足りて礼節を知る」と言った人を生んだ国なのに。