想う

牛に引かれて

長野は善光寺に行って来ました。予定よりも早く到着したところ、偶然にも「お数珠頂戴の儀」が始まるところで、幸運にも頭を撫でていただきました。本堂では法要が営まれており、その徳と実のある空気に感動しながら浸りました。それを横目に通り過ぎて「お…

スタートの春

友人が結婚します。知り合ったのは中学生のとき。しかし、同じクラスになることもなく、互いに顔と名前を知っている程度でした。付き合いが始まったのは高校一年から。同じクラスになったのがきっかけでした。あれから何年……。氷室冴子の小説『海がきこえる…

2.26事件

録画しておいたNHKアーカイブス「NHK特集『戒厳指令…交信ヲ傍受セヨ 〜二・二六事件秘録〜』」を見ました。この番組が放送されたのは昭和54年2月26日、2.26事件が起きた昭和11年2月26日から43年後のことです。昭和54年が、“あの”2.26事件がたった43年前に起…

芸術の春

「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」に行きました。絵心の無さには自信があります。専門知識もありません。そんな素人も、本物の前にはひれ伏しました。展示室の出入り口には透明なビニールのカーテンが引かれ、美術館側の本気度が窺えます。襖絵を展示する…

新年のご挨拶

あけましておめでとうございます。昨年は、当ブログに足をお運びいただき、ありがとうございました。今年も、わたしの書く愚にもつかない独り言を読んでいただけたら嬉しいです。昨年末、よりにもよって一年の最後の日、大晦日に人生初の“魔女の一撃”を受け…

投資

裏隣りの家の女の子が大学院を卒業して中学校の教師になりました。担当科目は数学。素直に頭を垂れるのみ。忙しい毎日を過ごしているようで、本を読む余裕もないと思いますが、一冊差し入れました。プレゼントではありません、差し入れです。内田樹の『下流…

この冬も

微々たる金額ながら冬のボーナスが出ましたので、いつものように「あしなが東日本地震津波遺児基金」と「国境なき医師団日本」に寄付をしました。今回は、金額についての愚痴は止めておきます。とにかく、今日を明日に繋げてほしい。その一念だけです。あの…

訃報に接し

フィデル・カストロの訃報に接し、船戸与一の『国家と犯罪』を手に取りました。その(朗々と声に出して読みたくなる、詩のような)序文にて船戸が見つめている世界において、最後まで「カストロ」という個性を全うした姿に、アメリカに亡命したキューバ人た…

ジレンマ

人種や肌の色を理由にした差別は言語道断ですが、男と女は人類社会のすべてに存在するのであり、それを理由に差別することは同じレベルで許されません。アメリカ国民は、口が裂けても「ヒラリーが敗れたのは女だからだ」とは言えないでしょう。その可能性に…

世論とは

アメリカの大統領選挙がかつてない泥仕合の様相を呈しています。ネガティブキャンペーンも極まれり。互いに、順番にスキャンダルが表面化し、その都度世論調査が行われ、その災禍に見舞われた候補者の支持率が急降下し、対立候補がポイントを稼ぎます。この…

黙って頷く

敬愛する親戚のおじさんの言葉。親に出来ることは、子供が何かを決めたとき、「そうか」と黙って頷くことだけ。頷きました。その決断に至る葛藤、自分を納得させる過程が手に取るようにわかりました。それでも、黙って頷きました。でも、神さま、仏さま。可…

歴史は繰り返す

エマニュエル・トッドの著書を二冊、買いました。『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』に歯が立たなかったのに、懲りないものです。ここ数か月、立て続けに新刊が発売されている様子に、サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』と、トマ・ピケティの『21…

もういいや

森瑤子にはたくさんの著書がありますが、そのほとんどが短編集です。目の前に文庫の赤い背表紙がずらっと並んでいますが、その中から目当ての作品を探し出す気力がないので、記憶を頼りに書いてみます。ある夫婦の話。結婚して数年が経ち、お互いに相手を異…

恒例の

少し遅くなりましたが、半年に一度の恒例、「あしなが東日本地震津波遺児基金」と「国境なき医師団日本」に寄付をしました。いつもどおり、微々たる金額です。いまでも、亡くなったことが判明した方々の名前が隅から隅までびっしりと書かれた新聞の紙面をふ…

本屋

五條瑛の新作『スパイは楽園に戯れる』の発売日は6月21日。しかし、複数の本屋をはしごしても見当たらず、足を運ぶには距離がある店に電話で問い合わせても入荷していないという返事で、なかなか手に入れることが出来ずにいました。ようやく手に入れたのは7…

利他

イギリスのEU離脱が決まってからの報道は経済の話一色です。いや、もっと直截な言い方をしましょう、金の損得の話と。この国民投票の結果をテレビのニュースで見たとき、わたしはもっと別のことを考えました。今回の結果は、こう宣言したも同義です。国の利…

最上級

モハメッド・アリが亡くなりました。それを報じる記事が一般紙の一面に載るなど、スポーツ選手の枠を超えた存在だったと、あらためて感じ入っています。ボクシングの元世界ヘビー級チャンピオン。その表現に、彼の偉大さが滲んでいます。引退した名選手であ…

朝三暮四(加筆訂正)

わたしの記憶が確かなら、消費税は、その全額を福祉にあてる目的税として導入されたはずです。それは、消費税の税率を上げる話が出るたび、「福祉の財源が足りないから」という決まり文句とともに語られることからも明らかです。さて、主に高齢者を想定した…

義援金

本日、地元の社会福祉協議会を通じて、微々たる金額ですが、熊本地震で被災された方たちへの義援金を送りました。とにかく使っていただきたい。

わたしの知らない世界

先日、地元のレジャーランド(といっても、小さな遊園地)に行きました。そこで、ご当地アイドルのライブパフォーマンスを見ました。まったく興味がなく、同行者の付き添いで足を運んだのですが、歌に踊りに溌剌と頑張っている、あのひたむきな姿に悪い印象…

お見舞い

今回の熊本地震で被災された皆さんに、お見舞い申し上げます。余震と呼ぶのがためらわれるような大きな揺れが続き、そのたびに「もう勘弁してくれ」という無力感に襲われていることと思います。日常のすぐ裏側に隠れていた非日常。そこで過ごす時間は緊張の…

紳士

レイモンド・チャンドラーの『プレイバック』のセリフ。「If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.」言葉やニュアンスを変えて、たくさんの人が語っていますが、アナタなら、どう訳しますか…

悲鳴

日々起きる、幼い子供が犠牲になる虐待事件、老々介護の果ての(女性だけが亡くなる未遂も含めた)心中事件。その他、家族が殺し殺される事件。わたしには、それらが、この日本という国を形作る社会の悲鳴に聞こえます。

教訓

今回のSMAPの解散騒動から教訓を汲み取るとしたら、それはどのようなものでしょう。一連の報道(笑ってしまいますが、NHKのニュース番組も取り上げていましたので、報道と呼びます)に共通しているのは、善玉と悪玉を配した“わかりやすい”ストーリー作りです…

新しい年

明けましておめでとうございます。昨年は足をお運びいただき、ありがとうございました。良いアウトプットは、良いインプットから。本を読むことはもとより、せっかくHDD内蔵ブルーレイレコーダーを購入しましたので、ドキュメンタリー番組なども積極的に視聴…

この冬も

この冬も、微々たる金額ですがボーナスが出ましたので、僅かですが、「あしなが東日本地震津波遺児基金」に寄付をしました。今回は、それに加えて「特定非営利活動法人 国境なき医師団日本」にも寄付をしました。ずっと「日本ユニセフ」に寄付をしてきました…

納税の義務

かつて、民主党が大勝して政権与党の座についた選挙のとき、こう主張しました。「税金の使い方を見直して無駄な出費を抑えれば、増税の必要はない」と。その結果が“事業仕分け”という茶番劇だったことは残念でしたが、その論旨には誰もが賛成したはずです。…

聖地巡礼もどき

もう何年も、一人でお酒を飲むときのお供は、西岸良平の漫画『三丁目の夕日』と『鎌倉ものがたり』でした。汚れてもいいように、いわゆるコンビニコミックで買っていました。その『鎌倉ものがたり』の舞台の鎌倉に、生まれて初めて出かけました。鎌倉駅から…

プレゼント

人生には、歩んできた道が間違ってはいなかったことを実感するときがあります。「自分が答えになるしかない」なら、あれが“答え”だったのだと確信を持って言えます。

品格問題、再び

横綱の白鵬が“猫だまし”をしたことを批判して、また品格という言葉が聞かれます。“また”と書いたのは、そう、朝青龍のときとまったく同じだからです。“猫だまし”が禁じ手でない以上、白鵬を責める“具体的な”論拠はありません。そこで持ち出された言葉が「品…