素人の遠吠え

茨城県近代美術館で開館30周年記念特別展として催されている、「ポーラ美術館コレクション モネ、ルノワールからピカソまで」に出かけて来ました。

いつも書いているように、絵心の無さには自信があります。基礎的な知識もありません。その素人が絵画の鑑賞をするのですから、自分勝手であっても何かしらテーマを設定しなくてはいけません。そこで、こういう見方を意識してみました。

人間の営みと自然の調和。

映画『おもひでぽろぽろ』で、主人公の女性が田舎の風景に「自然だ自然だ」と無邪気に喜んでいると、同行している男性が言います。大略「この景色は人間が生きるために自然を加工したもので、人工的なもの。本当の自然などではない」と。

展示されている絵には、いわゆる自然の中に必ず人間が、あるいは人間の手になるものが描かれています。自然の中で働く人、戯れる人。人の手による家や建物。

そして、その中で最も印象深かったのが鉄道です。馬や馬車の時代と、鉄道の時代。それは明確に違います。あの鉄の塊と噴き上げられる白煙の存在感。

蒸気機関の発明と産業革命。人類史の特異点です。

その科学技術によって自然と人間の関係が変化したとは、よく言われることです。人間は自然を支配することが出来、もはや敬い、その恵みに感謝すべきものではないと。

その科学万能主義が躓きを見せたのがタイタニック号の沈没事故だとも言われますが、それはまた別の話。

それでもやはり、人間は自然の中でしか、その恩恵を享受しなければ生きていけません。そこに調和はあるのか。そして、その調和とは人間の叡智に他なりません。

展示されている絵画は世評の高い傑作ばかりです。鑑賞していて心穏やかに幸せを感じました。確かに、そこに人間の営みと自然の調和はありました。

人は、そのように生きていける存在なのです。元気と勇気をもらいました。

ちなみに、ピカソはよくわかりません。キュビズムを理解するどころか、その取っ掛かりすら感じませんでした。ただ、見たままに描き写すのではなく、一度解体し、複数の視点から再構築するというの並大抵のことではないということは、やってみろと言われてやれるものではないという程度にはわかりました。だって、どうしたらあんなふうに描けるのか、さっぱりわからないのですから。

茨城県近代美術館 | ポーラ美術館コレクション モネ、ルノワールからピカソまで