ほろ苦い
完璧な人間などいません。誰もがままならない人生を持て余しています。
社会のセオリーに倣うことができずに身を持ち崩していくのではなく、まっとうに働きながら、家庭生活を営みながら、その中で、どこかバランスを取れない。
発行部数が激減して四苦八苦している新聞社を舞台に、そんな男たち女たちを描いた連作短編集です。
ドラマは日常に潜んでいます。劇的な展開はありません。それでも読ませるのは、著者の観察眼の確かさと、登場人物たちの愚かさを包み込む懐の深さの故です。
何ともほろ苦い。
これは良い小説です。
- 作者: トム・ラックマン,東江一紀
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2014/03/06
- メディア: 文庫
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