使命感

人を動かす最大の要素は“使命感”です。それが、誰に頼まれたのでもない自らの心から生まれたものなら最強です。

物質的な利益を得ることもなく、一日が終わるとへとへとになっても、その疲労すら嬉しく、深い満足感に包まれます。

しかし、ここが私の弱いところ。相手の喜ぶ顔を見れば疲れも吹き飛んでしまうのに、それが習慣となって相手が「やってもらうのが当たり前」という態度になると、途端に嫌になります。

「それでは、自己満足のためにやっていたのではないか」と問われたら、「はい、そうです」と答える他ありません。

五木寛之は、大略「災害があった地域でボランティアをすると、最初のうちは涙ながらに感謝されるが、それが日々続いて日常になると、そのように喜んでもらえることもなくなってくる。そこで意欲がなくなって止めてしまうのは偽物で、そこからが本当のボランティアだ」と書いています。

これを読んで、私には無理だと思いました。情けない限りですが、それが正直な気持ちです。

実は、これは老人介護にも当て嵌まります。特に認知症がある場合、決して避けることはできません。

私が、時折り船戸与一が定義する“硬派”について書くのは、自分自身への再確認でもあります。

やらなければいけないからやるのか、やるべきことと見定めるからやるのか。