兄と妹と弟

ずっと引っかかっている言葉があります。

内乱が起きた架空の近未来の日本を、主に関東を舞台に描く、打海文三の『裸者と裸者』。続編に『愚者と愚者』『覇者と覇者』があります。

主人公の一人、佐々木海人は、生き延びるために孤児部隊に入り、頭角を現していきます。そして、戦闘が激化する状況下、まだ危険が少ない東京に、妹と弟を逆疎開させようとします。

妹の恵(メグ)は言いたいことを飲み込み、その提案を黙って受け入れます。そして、弟の隆(リュウ)は、こう言います。

「ようするに、カイトはおれたちを捨てようってわけかい」

この台詞が、脳裏から離れません。

裸者と裸者〈上〉孤児部隊の世界永久戦争 (角川文庫)

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