兄と妹と弟
ずっと引っかかっている言葉があります。
内乱が起きた架空の近未来の日本を、主に関東を舞台に描く、打海文三の『裸者と裸者』。続編に『愚者と愚者』『覇者と覇者』があります。
主人公の一人、佐々木海人は、生き延びるために孤児部隊に入り、頭角を現していきます。そして、戦闘が激化する状況下、まだ危険が少ない東京に、妹と弟を逆疎開させようとします。
妹の恵(メグ)は言いたいことを飲み込み、その提案を黙って受け入れます。そして、弟の隆(リュウ)は、こう言います。
「ようするに、カイトはおれたちを捨てようってわけかい」
この台詞が、脳裏から離れません。
- 作者: 打海文三
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/12/01
- メディア: 文庫
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