夏の読書

戦争は、どんなに理屈を並べても、美辞麗句で飾っても、人間同士の殺し合いです。それは最も愚かな行為。

それを経験していないというのは誇れることです。そして、それと同時に、その惨たらしさ、品性の下劣さを想像することも大切です。

そこで、わたしの本棚にある本で、この夏に中学生や高校生、大学生に読んでほしいと思うものを挙げてみます。

まずは、半藤一利。この人の言葉の行間に溢れるのは使命感です。

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

昭和史 戦後篇 1945-1989 (平凡社ライブラリー)

昭和史 戦後篇 1945-1989 (平凡社ライブラリー)



続いて、山田風太郎。この作家のエンターテインメントを支えているのは虚無感です。その透徹した視線が見据えるのは人間の在り様です。

新装版 戦中派不戦日記 (講談社文庫)

新装版 戦中派不戦日記 (講談社文庫)

同日同刻―太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日 (ちくま文庫)

同日同刻―太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日 (ちくま文庫)



次は、帚木蓬生。高邁な理念と、その空文句のもとの地獄。それを地べたから見つめるとき、そこにわたしたちの日常が重なります。

蠅の帝国: 軍医たちの黙示録 (新潮文庫)

蠅の帝国: 軍医たちの黙示録 (新潮文庫)

蛍の航跡: 軍医たちの黙示録 (新潮文庫)

蛍の航跡: 軍医たちの黙示録 (新潮文庫)



ノーマン・メイラーは、代表作の『裸者と死者』も『夜の軍隊』も読んでいません。お恥ずかしいかぎりです。しかし、この本を新聞広告で見た瞬間、「読まなくてはいけない」と思い、すぐに本屋に駆けつけました。

なぜわれわれは戦争をしているのか

なぜわれわれは戦争をしているのか



最後は、大藪春彦の『野獣死すべし』です。この作品については、贅言を費やすまでもないでしょう。

野獣死すべし (光文社文庫―伊達邦彦全集)

野獣死すべし (光文社文庫―伊達邦彦全集)



本棚は、その人の内面を表すといいます。気恥ずかしくもありますが、これらの本を読んで強く頷いたのも自分。

ブログを始めて六年。こんなことをしようと思うくらい、この夏は暑い。