映画『リーサル・ウェポン3』

メル・ギブソン演じる、妻を亡くして自暴自棄になっている若手刑事のリッグスと、ダニー・グローバー演じる、家族を大切にする定年間近の老刑事マータフの葛藤と絆を描くシリーズ。

第一作は“現代を舞台にした西部劇”と言われればなるほど納得の傑作。そして、それ以降の作品は、そのセルフパロディでした。

拳銃の横流し事件を追う二人の活躍を描いた第三作。第一作では子供だったマータフの息子も高校生になっています。幼馴染の中には学校をドロップアウトして悪い仲間と遊び歩く者もいて、マータフも心配しますが、ずっと父親の背中を見てきた息子はしっかりした若者に育っています。

ある日、事件の捜査中、リッグスとマータフは銃撃を受けます。必死に応戦する二人。何とか敵を倒してみれば、銃弾を受けて死んでいたのは息子の幼馴染の一人でした。罪の意識に苛まれるマータフ。朝、髭を剃る息子を見て、「違う、そうじゃない」と剃刀を手に取って髭の剃り方を教えます。父親に髭を剃られながら、息子が言います。「父さんを愛している」と。

罪悪感を噛み締めながら、死んだ少年の葬儀に出向くマータフ。涙にくれる少年の母親に頬を叩かれ、父親に「息子に銃を売りつけた奴を捕まえてくれ」と言われ、目の色が変わります。

ハリウッド映画は、その作品の中に家族の素晴らしさを表現するエピソードを入れるという不文律があります。それは現実世界がそうではないことの裏返しです。しかし、『リーサル・ウェポン3』のこの一連のエピソードは、そのような義務とは無縁の、本物のドラマでした。

父親と息子。互いに相手がいることで成長できる、最高のパートナーです。