古本屋にて2

前の記事のものとは別の、某チェーン店の古本屋にて。

やはり仕事帰り、何を買うでもなく店内をぶらついていた私は、小さな子供を連れた若い夫婦と擦れ違いました。そして、背中超しに聞いた会話。

妻「あっ、この本読みた〜い」

夫「じゃあ、買っていこうか」

妻(即答で)「ううん、いい。もう少しして、100円になったら買うから」

本を読むって、楽しくて、素晴らしいことじゃないですか。どんな本を指していたのかはわかりませんが、読みたいと思う本があるって、幸せなことじゃないですか。買いましょうよ。

倹約の精神は大切ですが、過ぎたるは猶及ばざるが如し。“安い”が最優先となる場面は日常の中に往々にしてありますが、本は心の栄養素。欲しい本を手にする喜びは、また格別。読んで楽しければ、充分に元を取ってお釣りが出ます。買っちゃいましょうよ。

そんなふうに、心の中で熱く語りかけた夜。

プロスポーツ選手に顕著ですが、お金をいくら出すか=どれだけ評価しているか、というのは、それがすべてではなくても一面では真実です。その作家が好きで、その作品が好きで、何がしか心に響くものがあるなら、新刊書店で買いましょう。それは、あなたの、その作家に対する評価の一つの意思表示でもあります。そんな作家の本を少しでも安く買いたいと思うのは、ちょっと寂しくないですか。