2013-03-04から1日間の記事一覧

『天皇と東大』その四

『天皇と東大』を読んでいる最中、半藤一利の『昭和史』と『あの戦争と日本人』を読んでいて良かったと思いました。半藤一利は、先の戦争の教訓として「熱狂するなかれ」と書いています。新聞は大衆を煽り、大衆は新聞を煽りました。その相乗効果が生み出し…

『天皇と東大』その三

『天皇と東大』では、たくさんの○○主義が登場します。思想に関しては、まさに百花繚乱。治安維持法によって理不尽という言葉では足りないくらいの取り締まりと弾圧があったとしても、それらが「寂として声もなし」という状態ではなかったことに驚きます。も…

『天皇と東大』その二

東京帝国大学は、近代国家としての大日本帝国を運営する官僚を育成することを目的として存在しました。言ってみれば、日本の思想と制度の最先端であり、国家権力と密接に結びついています。その東京帝国大学が、学問の自由及び大学の自治という問題で国家権…

『天皇と東大』その一

大日本帝国の盛衰を描いた『天皇と東大』を読んで何よりも強烈に感じるのは、天皇陛下の孤独です。『天皇と東大』は、雑誌連載時は『私の東大論』というタイトルでした。天皇陛下の出番は多くはありません。しかし、この国のあらゆる制度、あらゆる思想は、…