バカな子ほど可愛い

今年も庭の一画に畝を作り、さつまいもの苗を植えました。ほぼ一か月が経ち、順調に育っています。

苗の数は全部で十本。そのうちの一本は色も薄く、細くて弱々しいものでした。だからといって捨ててしまうのはもったいなく、あるいは心苦しく、他のものと同じように植えました。

水やりをする際も、枯れやしないかと気にして様子を見ていました。すると、初めの頃は風が吹いたら折れてしまうのではないかというほどだったものが、茎も太くなり、しっかりと葉を広げ出したのです。

もちろん、他と比べれば成長も遅く、小さい状態です。それでも、あの苗なりに必死に大きくなろうとしている姿に胸を打たれました。水をやるときも、自然に「頑張れ〜頑張れ〜」と声をかけてしまいます。

他にもう一本。ある日、元気がないなと覗き込んだところ、畝の表面の部分で切れてしまっていました。猫かイタチが悪さをしたか、あるいは鳥か。直径が二ミリもない断面が無残に土に埋もれていました。

そのちぎれてしまった方を、その茎から少し離れた位置に挿しました。ダメ元ともいえない、ただただ悔しい気持ちからでした。それが、枯れもせずにいます。土の中にあるのはほんの数センチ。収穫出来るようなさつまいもが育つかは疑問ですが、どのような結果になっても、それを楽しみにしています。

そして、驚いたのが、土の中に残っていた方。何と、断面だったところから新しい芽が出てきたのです。本当に本当に小さい芽が二つ。何という生命力。その不屈の姿に圧倒される思いです。収穫までの残りの日数を考えれば、さつまいもが出来るかは甚だ疑問です。でも、秋までつき合うつもりです。

バカな子ほど可愛いとは、こんな気持ちでしょうか。