ペンの暴力

何年も前、栃木県日光市(当時は今市市)で女子児童が殺された事件の容疑者が逮捕され、連日続報が流れています。

それは報道するに値するニュースなのでしょうか。

もちろん、容疑者が逮捕されたことは報道されるべきです。しかし、その犯行の内容について事細かに報じることに何の意義があるのでしょうか。

被害者の女の子がどのように連れ去られ、どのように殺されたのか。それは社会に周知されるべきことですか。不特定多数の皆が知るべきことですか。

大切な娘を奪われた両親の悲しみは筆舌に尽くし難いでしょう。それは、私も含めて他人が語って良いことではありません。それでも、巷に溢れる報道は酷いと言わずにはいられません。

自分たちが身を置く社会の隅々にまで、我が子が殺された一部始終が知れ渡る。絶望に打ちひしがれた人を、さらなる絶望に追いやる無惨。

ペンは剣よりも強し。そのペンで弱者を攻撃している自覚を持て。

我が身に置き換えて想像することすら心が拒否する事件です。どうか心安らかにと祈らずにいられません。