人を評価するということ

サッチャー元英国首相が亡くなりました。

彼女は、間違いなく世界史に名を遺す人物です。しかし、一方で、その業績の評価は是と非に二分され定まっていません。

それは、彼女が首相を務めた時代が、現在と地続きで、まだ歴史というカテゴリーに分類されていないからです。

数十年後か数百年後か、その時代のイギリスが、あるいは世界がサッチャー政権の功罪と直接の繋がりを持たなくなったとき、歴史の大きな流れの中で、その存在は位置付けられることでしょう。

「棺を覆いて後、定まる」という言葉があります。歴史という物語においては、それも良いでしょう。

しかし、現在に生きる我々は、今この瞬間に判断しなければいけません。「歴史が決めてくれる」というのは、決して慧眼ではなく、思考の放棄です。

歴史上、その当時は凡庸であると評されたり、悪人であると断じられた人物が、後世に再評価され復権する例は枚挙にいとまがありません。

人を評価するということは、とても難しいものです。