『しのびよる破局』

人智を越えた脅威が次々と大勢の人の命を奪う非日常の中で、日常は営々と維持、継続されていきます。楽観と鈍感と無思慮によって。

一見、東日本大震災後の日本について書かれているようですが、違います。これは、辺見庸カミュの『ペスト』について書いたものです。

洋の東西を問わず、人間のやること、在り様は同じようです。しかし、だからといって、「それならそれで良いじゃないか」とはなりません。

それを考えるのは、自分ではなく誰か他の人の役目。

それをするのは、自分ではなく誰か他の人の役目。

違います。その怠惰を自分に許すことは、世界を緩やかに壊死させることに手を貸すことです。

しのびよる破局 生体の悲鳴が聞こえるか (角川文庫)

しのびよる破局 生体の悲鳴が聞こえるか (角川文庫)