『しのびよる破局』
人智を越えた脅威が次々と大勢の人の命を奪う非日常の中で、日常は営々と維持、継続されていきます。楽観と鈍感と無思慮によって。
一見、東日本大震災後の日本について書かれているようですが、違います。これは、辺見庸がカミュの『ペスト』について書いたものです。
洋の東西を問わず、人間のやること、在り様は同じようです。しかし、だからといって、「それならそれで良いじゃないか」とはなりません。
それを考えるのは、自分ではなく誰か他の人の役目。
それをするのは、自分ではなく誰か他の人の役目。
違います。その怠惰を自分に許すことは、世界を緩やかに壊死させることに手を貸すことです。
- 作者: 辺見 庸
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/10/23
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