2011-08-07から1日間の記事一覧

『たんば色の覚書』

“黙契”大辞林では「暗黙のうちに互いの意志が一致すること。また、そうしてできた約束」と書いていますが、辺見庸は次のように定義します。「黙契とは、念書や契約書によって取りかわされたわけではない暗黙の了解のこと。禁忌には絶対触れないという制度。…

『しのびよる破局』

人智を越えた脅威が次々と大勢の人の命を奪う非日常の中で、日常は営々と維持、継続されていきます。楽観と鈍感と無思慮によって。一見、東日本大震災後の日本について書かれているようですが、違います。これは、辺見庸がカミュの『ペスト』について書いた…

『いまここに在ることの恥』

“恥”といって思い出すのは、太宰治の『人間失格』の一文です。「恥の多い生涯を送って来ました。」本書で、辺見庸は“人間の動作、所作の基本”を基調にしています。人間に取り扱い説明書はありません。人生の正解を記した参考書はありません。では、人間の基…