キレるな

「(兵法は)人のたすけに遣(つかう)にあらず。進退爰(ここ)に究りて一生一度の用に立る為なれば、さのみ世間に能く見られたき事にあらず。たとひ仕(つかい)なしはやはらかに、上手と人には見らるヽとも、毛頭も心の奥に正しからざる所あらば、こころのとはば如何答へん。仕なしは見苦しくて初心の様に見ゆるとも火炎のうちに飛入磐石の下に敷かれても、滅せぬ心こそ心と頼むあるじなれ」

柳生心陰流の心法を説いた『悒貫(いぬきどおりをつらぬく)書』(小島英記著『剣豪伝説』より)